ワールドカップで目立った中国企業の広告ワールドカップでは、中国企業の広告が目立った Photo:AFP/AFLO

フランス優勝を祝う記念コインを
受注して沸いた中国の会社

 サッカーの第21回ワールドカップ(W杯)ロシア大会、モスクワ現地時間の7月15日にモスクワのルジニキ競技場で行われた決勝戦は、フランスがクロアチアを4−2で破って、20年ぶり2度目の優勝を果たした。筆者は、家のリビングでテレビ中継を見ていたのだが、競技場内の興奮が伝わってくるようだった。

 しかし、携帯電話で中国のSNS・微信(WeChat)をチェックすると、もう一つの興奮に沸き立っている声があることに気づいた。

 試合が終了する1時間前、雑貨の町として知られる中国・義烏市のある会社に、フランスチームの優勝を祝う記念コインの製造を依頼する注文書が舞い込んだ。フランスチームの優勝できるか言い切れないときに、遠く離れた、しかも自国チームが出場していない中国で、すでにフランスチームの優勝を祝う作戦が始まっていたのだ。

 義烏市ではこの会社だけではなく、さまざまな会社がW杯の特需で盛り上がっている。W杯に参加する国々の国旗だけで、9000万元(約15億1000万円)の受注を受けた。ある会社の経営者は、「社員たちが朝7時から夜10時まで働いていた。月給も1万6000元(日本円にして約26万9000円)以上となっている。仕事はきつかったが、社員たちの士気が高かった」と振り返る。