藤野  3月11日は14時46分にあの大震災があり、15時の引けにかけて100円以上下落して10254円で日経平均は引けました。そして14日には9620円までさらに6%も下げました。そして、3日目の3月15日の朝方は、プールに大量の核燃料があるといわれていた福島第一原発の4号機まで水素爆発しました。この日の寄りはパニックでなんと前日比で15%も下落して8200円付近まで叩き売られたのです。ここで我々はずっと目をつけていた割安株を一気に買い始めました。

日本がつぶれてもキティちゃんは世界で生き残る

藤沢  あの時は、もうどの銘柄も叩き売られていましたね。その中でミスプライスされた株を虎視眈々と狙っていたわけですね。具体的にどんな銘柄を買ったのか、もしよかったら教えてもらえませんか。

藤野  買ったのは、サンリオとデジタルガレージです。サンリオはご存知キティちゃんの会社です。仮に日本がつぶれてもキティちゃんは世界で生き残るだろうと思いました。それまではなかなか私が買いたい水準まで株価が下がって来なかったんですけど、東日本大震災でなぜかキティちゃんも暴落した。そこで買い集めました。

 デジタルガレージは日本でツイッターを管理している会社です。震災の時は携帯電話がぜんぜん繋がらなくなりましたね。それでもツイッターは正常に機能していた。もともと、私は社会全体がモノを所有するということからシェアするという方向に進んでいくと考えていて、その中でソーシャル・ネットワークには大変注目していました。そして、災害時のツイッターの頑強性を目の当たりにしたのですが、それにもかかわらずバーゲンセールになっていたので、目一杯買いました。

「EPSが年率で15%以上増加」を基準にする

藤沢  お見事ですね。具体的に、どういう銘柄が藤野さんのレーダースクリーンに入ってくるのか、もうちょっと教えてもらえますか?

藤野  それは実はとてもシンプルなんです。もちろん藤沢さんはよく知っていると思いますが、

 株価 = PER(株価収益率)× EPS(1株当たり利益)

ですよね。

 それで、私は利益が毎年15%以上成長しそうな、つまりEPSが年率で15%以上増加しそうな中小型株を常に探しているのです。しかし、いくら成長しそうだからといっても高く買ってはいけない。だから、こういった成長性のある企業が割安になるのを常に待っているわけです。具体的には、こういった成長株をPERが10倍に近い株価で買いたいわけです。東日本大震災はもちろん悲しい出来事でしたが、多くの銘柄が一即多に売り浴びせられた。だから、我々のような投資家にとっては、優良企業の株をバーゲンセールで買う大きなチャンスでもあったわけです。