猛暑を乗り切るエアコンのフル活用術、こうすれば熱中症にならない酷暑の夏が続いている。体感的にはもはや「熱波」だ。エアコンをフル活用して、この異常気象を乗り切れるか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

体感的にはもはや「熱波」
エコアン活用でどう乗り切るか

 酷暑の夏が続いている。ある地域の日中の最高気温が平均最高気温を5℃以上上回る日が5日間以上続くことを、気象用語で「熱波」と呼ぶ。厳密に言えば正確ではないかもしれないが、この7月中旬に日本人が経験した暑さは、体感的には熱波と呼んでいいのではないか。

 熱波の襲来は、2000年代前半から世界各地で問題になってきた。2003年7~8月に欧州各国を熱波が襲った。特に被害が大きかったのがフランスだった。夏の平均気温が24℃のパリで、この年、最高気温が35℃を上回る日が10日以上にわたって続いたのだ。

 パリと東京の違いは、家庭へのエアコンの普及度だ。パリの気候は日本で言えば北海道に近いため、エアコンが東京ほど普及していなかった。当初、病院に運び込まれる老人が激増し、やがて病院の収容能力がパンクした。この熱波による死者の数は、集計機関によって諸説あるが、フランスでは約1万5000人、ヨーロッパ全域では2万人から3万人に及んだという。

 日本ではこの夏の暑さで、エアコンの設置が間に合わないという問題が起きた。日本だけではない。通常、熱波が発生すると必ずと言っていいほどエアコンの設置は間に合わない。理由は2つある。

 1つめの理由は、熱波が5年から8年間隔でやってくる災害だからだ。年中行事ではなく忘れた頃にやってくる災害なので、実際にやって来てから皆が慌てて動くため、設置が間に合わないのだ。

 もう1つの理由は、熱波が6日から10日ほどで収束するためだ。たとえば、現在私の住んでいるエリアでは、エアコンの設置を依頼しても11日待ちだという。熱波が発生してから慌ててエアコンを設置しようとしても、熱波対策には間に合わないのである。

 そうした事情があるため、実は熱波の際に熱中症の多くが自宅の中で起きる。だから、異常な暑さを感じる夏には、今ある設備をフル活用した自衛策が重要だ。猛暑を無事に乗り切るために、過去の欧州熱波から学ぶべきポイントを、いくつか指摘しておこう。