関西電力「男性育休取得者約1000人」のなぜ?トップが語る働き方改革オールドタイプと見られがちなインフラ業界でも進む働き方改革。関西電力は、異例と言える「男性育休取得者約1000人」をなぜスピード達成できたのか

一般的にはオールドタイプと見られがちなインフラ業界でも、働き方改革の地殻変動は活発化している。震災対応以降、関西電力では、大胆な権限委譲と競争時代に対応したスピード経営が進んでいるという。自ら旗振り役となり、働き方改革を力強く押し進める岩根茂樹社長が、株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長を前に、取り組みにかける想いを語る。(まとめ/アスラン編集スタジオ 渡辺稔大、撮影/内藤洋司)

社長に就任して2年で
男性の育児休業者数を1000人弱に

小室 先日、関西電力本社で講演させていただいたとき、岩根社長のお話をお聞きしてびっくりいたしました。就任されて2年のうちに、男性の育児休職者数が954人になっていること、有給休暇取得率を96%にし、年間時間外労働が720時間超えの人数を98%削減したことです。いずれも岩根社長自らが旗振り役になって、働き方改革を進めているとうかがいました。正直言って、オールドタイプの業界だと思っていたので(笑)、さらにインパクトがあって感動しました。

岩根 東日本大震災以降、電力会社の経営環境は厳しく、新たな仕事がどんどん増えていて、時間外労働が非常に多くなっていました。私が社長に就任した際、「これからは競争の時代なので、勝ち抜くためにも『スピード経営』にします」と宣言しました。同時に、前の経営者から受け継いでいる『人を大切にする経営』も大事で、この2つを実現したいと思ったわけです。

 不退転の決意で働き方改革に取り組む必要があったので、2017年1月に「『働き方』改革・健康経営委員会」を立ち上げ、私自身が委員長になりました。

小室 そのことに人事・労務の方も驚かれたそうですね。

岩根 人事・労務担当の副社長がやると、人事・労務部門以外の副社長は「自分はそんなにやらなくていいのかな」と思う可能性がありますよね。でも、私が委員長になれば「これはやらなあかん」となります。これは全社で取り組む必要があり、トップのコミットメントが大事だということで、私自身が委員長になりました。