テレビからネットに雑誌、書籍まで、世の中にはまことしやかな「健康情報」が、日々次から次に流れている。コレを食べると「やせる」「血液さらさらになる」などとテレビで放送されると、翌日にはスーパーからその食品が消えるといったことが繰り返されている。
だが、実際にはその情報の信頼度はバラバラで、何の科学的証拠(エビデンス)もないものが「とても健康にいい」と喧伝されていることも少なくない。
では、いったい何を信じればいいのかと思ってしまう人も多いのではないだろうか。
そこで、ハーバードメディカルスクールの教授であり医師としても活躍する著者が、信頼性の高い膨大な研究の網羅的な分析によって明らかになったことを集め、「これだけは間違いなく『いい』と断言できる」という5つの習慣・食べ物・飲み物を「ビッグファイブ」として抽出した。その内容を1冊にまとめたのが『ハーバード医学教授が教える健康の正解』だ。
ここではその内容から特別に一部を公開したい。知ると知らないとでは、一生の健康に影響するほど有用かつ興味深い情報だ。ぜひ読んでみてほしい。

医学は日々「進化」している

ハーバード教授が厳選!最も体にいい習慣ベスト5は?

 医師になってからもう40年あまりになる。

 私にとって医師という職業は、たんなる仕事やキャリアを超えた天職だ。この仕事を愛していて、患者さんのケアをすることを人生の目的であり、生きがいと感じている。

 患者さんの既往をくわしく調べ、知識と経験をもとに診察を行い、診断を下し、治療計画を立てる。治療を任せてもらえるのはじつに光栄なことだ。また私はアメリカ各地や海外の多くの国で、医学教育にも携わってきた。

 この仕事を始めたころは、医学と医療はいまよりずっと単純だったが、ここ40年間で事情は大きく様変わりしている。

 たとえば、エイズという現代病が出現し、最初の症例が報告された1981年から2013年までのあいだに、世界全体で3900万人もの命が奪われた。

 1980年代にエイズと診断されるのは、死亡宣告と同じだった。ところがいまでは1日1錠の薬を飲めば、健康的で充実した生活を送ることができる。バスケットボール界のレジェンド、マジック・ジョンソンがその好例だ。彼は1991年にHIV感染を発表したが、それから四半世紀ほどたったいまも多方面で活躍している。