仕事仲間を気遣える環境になっているか?会社、部、課、チームといった組織の中で、仕事仲間を気遣える環境になっているか?(写真はイメージです)Photo:PIXTA

小学生の時から双極性障害(躁うつ病)・パニック障害・過呼吸などに苦しみ、その後克服した『大丈夫。そのつらい日々も光になる。』の著者・中島輝氏。自身の経験を活かし、心の病を抱える人に対して、解決へと導く手助けの一翼を担いたいという思いから「心理カウンセラー」となり、これまで1万人以上のカウンセリングを行ってきた。今回は、納期の遅れを取り戻そうと奮闘、努力しても成果が出ず自信を失った40代の中間管理職の驚きの行動を紹介したい。

いつもと違うメール内容に違和感
本人の自宅へ向かうと…

「ごめん、先生、もう無理」

 生暖かい空気がまとわりつく不快な夏の夜のこと。佐伯隆史(42歳)さんとのカウンセリングが始まって以来、毎日届くメールには「死にます」と書かれていたが、この日はいつもと違う内容が届いたのである。

 嫌な予感がした私は、急いで車に飛び乗った。彼のアパートに着くと、ドアの下からうっすらと明かりが漏れているのを確認、部屋のチャイムを鳴らした。しかし、応答がない。

 彼の両親の家に電話をかけ、アパートの大家に連絡してもらった。彼が仕事で悩んでいたことは両親も知っていたため、すぐに状況を察し、大家にドアを開けてもらうように手配をしてくれた。

 大家がドアを開け、「佐伯さん」と叫びながら部屋に入ると、テーブルの上にコンビニ弁当の容器などが散乱し、最初に会った時のカビ臭さとタバコの匂い、生ごみの臭いが重く漂っている。

 風呂場へ向かうと、ドアは内側からガムテープで目張りしてあり、すりガラスの向こうに人影が見えた。力一杯ドアを何度も押し、ガムテープを引き剥がした。