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人間の「無意識の偏見」が
AIに与える負の影響とは何か

――グーグルのAI研究者、フェイフェイ・リー氏に聞く

末岡洋子
2018年8月10日
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偏見のないAIへ
常に目を光らせる必要がある

――バイアス(偏見)の入ったAIについて警告していますが、グーグルはどんな取り組みをしていますか。

 バイアスの根源は、機械ではなく人間です。まずはここを認識しなければなりません。

 その上で、機械学習アルゴリズムの設計、実装に偏見が入らないようにしなければなりません。グーグルはこれを真剣に受け止めており、例えばAutoMLでは、ユーザーインターフェイスに公正であることの重要さを伝えるベストプラクティスを組み込んでいます。

 開発側のバイアスは長期的な問題で、長期的な取り組みが必要です。私はこれまで、AIにおけるインクルーシブの重要性を主張してきました。AIとは関係ありませんが、Google検索でGoogleロゴをアレンジしたDoodleがありますが、当初はこのDoodleアートに女性がいなかったそうです。意図してそうなっていたのではなく、指摘を受けてすぐに改善したと聞いています。このように、参加しているメンバーがインクルーシブではない場合、意図しない偏見が生まれることがあるのです。

 私自身はAIの教育課程でのインクルーシブに取り組んでおり、女性やマイノリティなど様々な高校生にAIを教えるAI4ALLという非営利活動をしています。

 人間の将来は、今開発中の技術とそれがもたらす価値により左右されます。将来インクルーシブなものであることを願っています。

――AIが全員の手に渡った社会に向け、教育は変わる必要があるのでしょうか。

 私は科学者として真実を追求します。これに加えて、AIで世界にポジティブな影響を与えたいと願っています。AIの教育、ダイバーシティのあるAI、全員が使えるAIで企業や個人にパワーを与えたいと思っています。人間中心で良心に基づいたAIにする必要があります。

 一方で、技術は様々に変わりますが、最も大切なことは人間が人間であることです。人生を豊かで美しく、幸せで、意味あるものにするのは人間性だと考えます。

 その観点から、教育者として教育のルーツは人間性にあるべきだと信じています。

(取材・文・撮影/末岡洋子)

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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