a批判も多いETF購入策だが、日銀は年6兆円ものペースで買い入れを続けている Photo by Ryosuke Shimizu

日銀の算段が外れ修正

「不況に備えたのではないか」。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、日本銀行が7月末に発表した金融政策決定会合の隠れた論点としてETF(上場投資信託)購入策の修正を挙げ、そんな見方を示す。

 まず、今回の会合で関心が集まった金融政策の主な修正点は二つ。一つは長期金利の操作目標となる10年物国債の金利水準(0%程度)に関し、従来はマイナス0.1~プラス0.1%程度で国債購入を調節してきたが、今後は「変動幅を倍くらい(0.2%程度)にする」(黒田東彦総裁)として、一定の幅で金利が動くのを認めたことだ。国債市場の機能低下など、長引く低金利政策でたまった副作用への配慮もうかがえる。

 併せて、中央銀行が将来の金融政策の方針を前もって表明する「フォワードガイダンス」の導入を決定。今回は2019年10月に予定される消費増税の影響を見通しにくい点に触れつつ、「当分の間」は現在の超低金利の維持を想定しているとした。

 なぜ、このタイミングで軌道修正を図ったのか。それは低失業率に伴って賃金が上昇し、目標とする物価上昇率も上向くと見ていた日銀の算段が外れ、物価見通しを引き下げる中で政策の持続性を高める必要が生じてきたからだ。