実家の家族が亡くなった場合、遺品整理では「領収書」の確保が大切だ写真はイメージです Photo:PIXTA

お盆休みで実家に帰省している人も多いはず。久しぶりに家族と顔を合わせるせっかくの機会、相続や不動産などお金にまつわる「実家の大問題」を家族で話し合ってみては?お盆企画の最終回となる第8回は、実家の「遺品整理」について紹介する。*本記事は『週刊ダイヤモンド』2016年8月13日号『どうする実家の大問題』から抜粋したものです。

 葬式が終わり、実家を見回せば、親が残した大量の日用品や家具が目に入る──。片づけ・処分をめぐって、親族間で無用なトラブルを起こさないためのポイントを解説する。

「どうしてこんなタイミングで……」。千葉県市川市に住む河合健三さん(仮名、56歳)の元に、母親の訃報が届いたのは、大阪に出張している最中のこと。毎週末、訪問介護を依頼しているホームヘルパーからの電話だった。

 急いで仕事を切り上げ、帰郷する新幹線の中で一人悔やんだのは、親の死に目に会えなかったこと以上に、ここ数週間、電話するのを先延ばしにしていたことだった。

 2カ月前。母親と電話で話したときにぼそっと言った「最近食欲がない」という言葉がずっと気になっており、病院で診察を受けたのか確かめようとしていたのだ。

「受話器を持ったまま、うつぶせで倒れていました」。ホームヘルパーから聞いた母親の最期の姿が目に浮かび、自分に電話しようとしていたのではと思うと、胸が張り裂けそうだった。

 8日後。葬式や役所への手続きも終わり、弟夫婦と話していると、妹が大きな紙袋を抱えながら、2階の母親の寝室から出てきた。

 中身を聞くと、自分の幼少期の写真が詰まったアルバムだという。仕事が立て込んでいるからと、妹はそそくさと実家を後にした。