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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

マーケティングの常識が変わった!? モノが売れない時代に『社会貢献』が売れるワケ

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第1回】 2009年7月21日
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 モノが売れないこの時代に、『社会貢献』が売れている――。

 もちろん、社会貢献という名の商品があるわけではなくて、さまざまな社会問題の解決につながるモノやサービスが売れたり、NPOやNGOの活動を支援するチャリティ商品が売れているという意味だが、昨年のリーマン・ショック以降の世界同時大不況の中でも、これらの商品は売り上げを伸ばしている。

 社会貢献志向の消費行動を『ソーシャル消費』と呼ぶが、この消費トレンドは、若者とアラフォー女性を中心に、30代男性、そしてシニアを巻き込むメガ・トレンドになりつつある。

 残念ながら40代、50代の男性はこの動きから完全に取り残されていて、企業の管理職や役員クラスにはその世代の男性が多いので、このメガ・トレンドを理解できてない企業もまだまだ多い。これでは、せっかくのビジネス・チャンスを潰していることになるので非常に残念だ。

 筆者の本業はマーケティングのコンサルティングで、つまり生活者の消費志向を分析するのが仕事なのだが、その経験から言っても、このトレンドは、従来のものとまったく意味合いが違う。

 従来の企業活動、すなわちマーケティングとは、基本的に“個人の欲望”をいかに刺激するかがテーマだった。美味しいモノが食べたい、いいクルマに乗りたい、大きなテレビが欲しい、カッコいいスーツが着たい――。そういった欲望を刺激し、肥大させ、消費を拡大させる。時代が変わろうが、新しい理論が出てこようが、基本的なベクトルはこれまでかわらなかった。

 しかし、今度の『ソーシャル消費』は違う。個人の欲望より“他人の幸福”のために商品を購入するという、従来のマーケティングの常識からすれば180度真逆の、「コペルニクス的大転換トレンド」なのである。

 このトレンドは、すでに世界規模で起こっている。あの経営学の神様マイケル・ポーターまでが、「社会貢献したほうが企業も儲かりますよ」という内容の論文を書き、2006年のマッキンゼー賞を受賞した【注】。欧米の企業経営者はこの論文に衝撃を受け、こぞってCSRを企業戦略に統合するようになったという。その結果、コンサルティング会社では、CSRコンサルタントの数が足りなくて困っているという話も聞く。

 日本でもここ2~3年、大学生を中心とした20代の若者、そしてアラフォーの女性を中心に、このトレンドが顕在化してきた。そのことを示す、衝撃的な事実がある。

女子大生も草食系男子も
『社会貢献』には心が動く?

 関西一のお嬢様大学・神戸女学院大学の内田樹教授が、自身のブログにこのようなことを書いている。

 内田ゼミを希望する学生が掲げる研究テーマについて、これまでは「ファッション」「ブランド」「女子アナ」「美食」など、消費行動に関するものが多かったという。しかし、昨年はそのようなテーマはゼロ。それに代わって登場したのは、「ストリートチルドレン」「麻薬」「売春」「人身売買」「児童虐待」「戦争被害」「テロリズム」「少数民族」といった社会的なテーマばかりが並んだというのだ。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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