大塚家具の久美子社長Photo:Pasya/AFLO

大塚家具は
親子喧嘩で墓穴を掘った

 家具専門店の大手、大塚家具の経営先行きに関する不安が高まっている。その背景には、親子喧嘩によって同社のイメージが悪化したこともあり、同社の業績が急速に悪化していることがある。

 業界に詳しいベテランアナリストは、「大塚家具は親子喧嘩で墓穴を掘ってしまった」と厳しい見方をしていた。

 親子喧嘩のイメージ悪化に加え、同社は多くの重要な従業員も失った。富裕層を常連に持つ従業員の中には、大塚勝久氏の創業した“匠大塚”に入社した者も多い。それは、大塚家具から匠大塚に重要顧客が流れたことを意味する。

 大塚家具の経営の悪化は、古典的な経営戦略の失敗といえるだろう。同社の経営陣が、本来あるべき経営戦略を理解せず、従来のビジネスモデルの否定を重視した、とも言い換えられる。有効な戦略なき経営が進んだ結果、売り上げは減少し、同社は損失回避のために自主再建を断念せざるを得ない局面を迎えているようだ。

 8月に入って以降、大塚家具が資本増強のために他社との提携を検討しているなど、さまざまな報道が飛び交っている。7日に大塚家具は、2018年12月期の最終損益が34億円の赤字に落ち込む見通しであると発表した。いつ、同社の業績が上向くか、先行きはかなり見通しづらい状況にある。

ブランドイメージを
毀損した大塚家具

 大塚家具といえば、きめ細やかな接客サービスを売りに、どちらかといえば高価格帯の家具を扱うとのイメージがあった。新宿や有明の大塚家具の店舗に行くと、専門知識を持った店員が丁寧に説明をしてくれた。それによって、消費者は、その家具を使ってどのような生活空間、ライフスタイルを手に入れることができるか、具体的なイメージを描くことができたはずだ。