西友米ウォルマートが、日本における西友の売却先を探していると報じられた。これに興味を示したのがドン・キホーテだが、これまでの同社の経営手法は西友には通用しづらい Photo by Satoru Okada

西友買収に興味を示すドンキ
従来の業態転換で成功できるか

 アメリカの小売最大手・ウォルマートが、日本における100%子会社・西友の売却先を探しているという。7月中旬に一度、この売却観測報道が流れ、ウォルマートは「そのような事実はない」と否定していた。しかし、8月に入り再びウォルマートが売却先を探しているというニュースが広まって来た。ウォルマートが日本からの撤退を検討しているという。

 ウォルマートの海外での成功例は限定的だ。売上の76%は米国市場であげており、海外で好調なのは主にメキシコとカナダ、つまり地続きの国が中心だ。売り上げが大きいという点では中国も重要なエリアだが、それ以外の国の事業はあまりうまくいっていないという評判である。日本での数字は、ウォルマート本社が発行する2018年の業績ハイライトでは触れられもしていない。

 そしてウォルマートの海外事業でトップ4に入る重要拠点だったイギリスでは、子会社でイギリス3位のスーパーマーケットであるアズダを、この5月、業界2位のセインズベリーと経営統合することを発表した。ウォルマートはグローバル事業の選択と集中を鮮明にしているようだ。だから西友の売却も合理的な判断と言えるだろう。

 もっとも売却先の打診は、秘密裏に大手流通や米国系大手ファンドに対して行われている段階なので、具体的な情報は我々第三者にはまだ入ってこない。いったいどこが買収に手を挙げるのかと様々な観測が流れる中で、具体的な名前が上がって来たのがドンキホーテホールディングスだ。8月13日の事業説明会の中で大原孝治社長が、西友について「本当に売却するなら、興味はある」と発言したのだ。

 ドン・キホーテという企業は、実は西友のようなGMS業態を「ドンキ流」に業態転換することで業績を伸ばしてきた実績を複数持っている。そもそもは2007年に長崎屋を買収し、不採算店を閉鎖する一方で優良な立地の店舗を「MEGAドン・キホーテ」に業態転換し、成功を収めてきた。