ふくおかフィナンシャルグループ債権譲渡の実効性を公取委としてどう確保させるのか、今後の判断に注目が集まる Photo by Takahisa Suzuki

 長崎県の地方銀行、十八銀行と親和銀行の統合計画で、独占禁止法上の審査を担う公正取引委員会との協議が、大詰めを迎えている。

 最大の焦点は、親和銀を傘下に収めるふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀が、債権譲渡をどこまで実効的に進められるかだ。

 統合をめぐっては、県内トップバンクの十八銀と2番手につける親和銀の合併が実現すると、中小企業向け貸し出しの地域シェアが7割超にも上ることから、寡占の弊害がかねて指摘されてきた。

 そのため、公取委は協議の中で問題解消措置として他行への貸出債権の譲渡を迫り、ふくおかFGと十八銀が5月以降、取引企業の全件調査に乗り出している。併せて、譲渡先の銀行の承諾も取り付けることが求められる中、受け手の銀行からは「棚ぼた」で取引先を獲得できることもあって、当初は歓迎する声が多かった。

 譲渡に向けた交渉は着実に進んでいるように見えたが、ここにきて受け手の銀行から多く聞こえてくるのは、不安の声だ。その最たる原因は「元サヤ」リスクにある。

 債権を譲渡されても、完済後の新規融資は元の十八銀や親和銀に戻ってしまうということになれば、骨折り損にしかならない。