年間150公演以上のMCやイベント司会を務め、特に女性の韓流ファンから絶大な支持を受けているYumiさん。必ず盛り上がるトーク術のノウハウを明かした『初対面でも盛り上がる! Yumi式会話力で愛される29のルール』が現在、好評発売中です。
今回も引き続き、世界的に活躍している書家の伊藤潤一さん。ミラノ国際博覧会へ参加や、伊勢志摩サミットのディナー会場の演出、F1日本GP公式タイトルロゴデザイン担当など、世界でも活躍中ですが、書家として本当に意識が変わったのは東日本大震災での経験が大きかったそうです。

「書道をナメてる」と、
叩かれても気にしない

Yumi第2回では、路上で頼まれて、いろんな人に書を書いたとおっしゃっていましたが、トータルでどのくらいの人数なんですか?

伊藤:最初のころはシリアルナンバーを入れていたんです。路上だけでなく、イベントなんかで書いていたのも含めて。たしか5000くらいまで達成した頃から入れなくなりました。

Yumi:かなりの数を書いていたんですね。

伊藤:はい、大きいイベントだと1日150枚とか書いていたので。だいたい3年くらいですかね。

Yumi:路上で頼まれて書くようになってからは、わりと順調だったんですか?

伊藤:いやいや、そんなことないですよ!応援してくれる人はもちろんいましたけど、「書家」と名乗ってから、叩かれることも多かったです。いや、叩かれてばかりです(笑)

Yumi:それは、どんな人たちに言われるんですか?

伊藤:主に同業者ですね(笑)。「お前には絶対無理だ」とか「書道をナメてる」ってよく言われました。そういう人たちって、たいてい小さなころから、書道をずっとやってきて先生に師事して頑張っている……ってケースが多いじゃないですか。彼らからすれば、突然、出てきた自分みたいなヤツは面白くないでしょうし…。

Yumi:そうかもしれないですね。

伊藤:でも、今はもう気にしてないです。

Yumi:うわあ、メンタルが強いんですね。私なんて、自分の厳しいコメントを見ると、けっこう落ち込んだりしちゃいます。

伊藤:いや、負けず嫌いってこともありましたが、本当に気にならなくなったのは、東日本大震災を経験してからです。そこで、気持ちが変わったんです。

Yumi:ボランティアに行かれたんですよね?

伊藤:はい。実は2回行ったんですが、最初、現地へ行って任されたのが、家屋の解体工事とか、泥かきだったんですよね。その作業中に、卒業証書だったり、新しいランドセルだったり、家族写真が出てきたりして、もうやるせない気分になってしまって。

さらに、モノづくりをしている自分がモノを壊している…っていう心苦しさがふくれ上がってしまって、「なんか、ダメだ」って、一旦、離脱して三重に帰ってきてしまったんです。自分は何もできない、みたいな気持ちもあって。

Yumi:それで?

伊藤:戻ってきて冷静になって思ったのが、自分は、あったものを壊すのではなく、「ずっと残るモノを作りたい」、「なくなっていくモノを守りたい」ということに気付いたんです。

そして、今までのように対「個人」に書を贈るみたいな活動だけではなくて、「社会」に対してもっと深く関わりたい、と思ったんです。そうやって、自分の意識が変わった瞬間に世の中の見え方が変わりました。もう本当にガラッと。批判されるとか、小さなことが気にならなくなったんです。

伊藤潤一さん対談【3】<br />被災地でも、筆1本で<br />コミュケーションが取れた<br />
伊藤潤一さん対談【3】<br />被災地でも、筆1本で<br />コミュケーションが取れた<br />Yumi
年間約150本以上、動員数で言えば年間30万人以上の韓国関連イベントのMCなどを務める。歯科衛生士、裁判所の法廷通訳、北新地でバー経営という異色の経歴を持つ。関西でラジオDJ、テレビのリポーターやMCなどを経験後、韓流ブームと共に、イメケン揃いのスターのMC、通訳などを担当、女性ファンから慕われている。また語学スクール『ウリアカデミー』にて韓国語講師をつとめ、自身のトークライブ「Yumiサロン」を不定期に開催(次回は9/4に開催)、歌やドラムなどマルチに活躍。著書に『初対面でも盛り上がる! Yumi式会話力で愛される29のルール』他 ツイッター @Yumi_nuna