暴言を吐く「迷惑おじさん」を職場が活用するための秘策シンガポールにて、暴言を吐く「迷惑おじさん」の弊害について考える筆者

職場の「迷惑おじさん」を
マネジメントする方法はあるか

 100回目の記念大会となった今夏の全国高校野球も無事に閉幕し、相変わらず続く猛暑の中でも、夏の終わりを感じさせる時期となった。夏休みで気力をチャージして、多くの人が新たな気持ちで職場に復帰してるいることと思う。

 しかし職場には、時折、人のやる気をへし折ったり、人が傷ついたりすることばかりを口にする「迷惑おじさん」が現れるものだ。

 暴言による被害は、わざとなのか無神経だからなのか定かではないが、そんな「迷惑おじさん」が1人混ざるだけで、職場の環境は著しく悪くなる。皆の心が休まることがなく、職場はピリピリした空気に包まれることだろう。

 筆者もこの頃、そんな悩みを周囲の人々から聞くことが多くなった。そこで今回は、暴言を吐く「迷惑おじさん」への対処法について考えてみたい。

「職場環境」の良し悪しは、実際に入社してみないとわからないので、「迷惑おじさん」の被害に遭うかどうかは、天災と同じように仕方がないことだと許容してしまっている人が、多くいるのではないだろうか。

 しかし、そんな「迷惑おじさん」を見事にマネジメントした歴史上の人物がいる。かの吉田松陰だ。

 松陰は、下田の港から黒船に忍び込みアメリカへ密航しようした罪を問われ、萩の野山獄に入牢した。野山獄には犯罪者は2人だけで、あとの9人は家族や親戚からの要請で閉じこめられていたので、刑期がなく死を待つだけの日々を送っていた。囚人たちの心は荒み、常に罵声が飛び交っていた。

 そんな獄中で静かに書を読み著述する松陰を、囚人たちはからかい罵った。その中で、特にひどかったのが隣室の富永弥兵衛(有隣)だ。彼はかつて若くして出世したため傲慢になり、他人を誹謗するクセがあった。そのひねくれ方は、人間社会から隔離しなければならないほど尋常でなかったと言われ、それが理由で投獄されていたのだ。まさに「究極の迷惑おじさん」である。