チームが文化的な多様性を有することは、創造的なアウトプットにつながると言われている。ただし、単に文化的背景の異なるメンバーを集めるだけでは、創造性を高めるどころか、チームの崩壊すら招きかねない。筆者によると、多様性のプラス面を活かし、同時にマイナス面を緩和するには、2つのタイプの仲介役の存在が欠かせないと言う。


 研究が示すところによると、現代の組織において、文化的な多様性を持つチームは、より優れた成果を生み出す可能性があるとされる。これは基本的に、よいことである。多様性に富むチームでは、メンバーがその場に持ち寄る情報やアイデア、視点が多岐にわたるので、創造性のポテンシャルが高くなる。

 ただし、こうしたチームでは、メンバー間の規範の不一致や思い込みの行き違いによって、マイナスの影響が生じることも多い。そうなると、創造性のポテンシャルを最大限に発揮することはできない。マネジャーがこうした状況に気づき、対処できなければ、文化の多様性はむしろ、チームの創造性を低下させる恐れがある。

『オーガニゼーション・サイエンス』誌に最近掲載された私の研究では、多文化的なチームが、多様性のプラス面を活かしながら、マイナス面を緩和するうえで、文化的な仲介(cultural brokerage)が1つの重要要因であることを示した。

 私は文化的な仲介を「複数の文化的背景から多数の当事者間の交流を円滑にする行為」と定義している。2つの研究(2000を超える多文化的チームに関する文献調査と、さまざまな文化的構成の83の多文化的チームを対象とした実験)によって、文化的な仲介役になれる人が1人でもいれば、チームの創造性が有意に高くなることを発見した。

 それでは、文化的仲介役になれるのはどんな人物だろうか。それは、他の人よりも多文化体験が多く、単一文化的なチームメイト同士の橋渡し役ができるメンバーである。