質問型営業本がシリーズ10万部のベストセラー。今回は日本での凱旋講演を前に、『3か月でトップセールスになる質問型営業最強フレーズ50』より、営業における誰も教えてくれなかったエッセンスを紹介していきます。今回は、売れる営業のプレゼンテーションにについてです。

プレゼンテーションでは説明をせず、質問のみで十分

「プレゼンテーション」がうまくいく秘訣は、すぐに商品・サービスの説明をしないことです。

 お客様の状況、欲求、ニーズを徹底的に聞き出し、課題を見つけることです。その解決策として商品・サービスを提案します。そうすれば、お客様に熱心に聞いてもらえるのです。そのプレゼンテーションはお客様にとって、インパクトのある提案になり、確実にクロージングに向かっていくのです。それだけではありません。インパクトのある提案はお客様にとって魅力あるものになるのです。

売れる営業のプレゼンテーションとは何か?

 プレゼンテーションとは何でしょうか。「導入してもらいたいテーマや企画について、効果的に提案するための技法のこと」です。営業でいえば、お客様に商品やサービスを的確に提案することです。

 大事なのはこの提案をどのようにすればいいのか、です。売れる営業はそれを知っています。その答えは、お客様の欲求やニーズ、それを実現するための課題の解決に沿って行うということです。

 いくら商品・サービスを提案しようが、その提案がお客様の欲求やニーズを叶えるものでなければ意味がないのです。

 ここで重要になってくるのは、営業マンもお客様も欲求・ニーズをしっかり理解したうえで、プレゼンテーションに入っているかということです。

「お客様自身がわかっているつもり」、もしくは、「営業マンがわかっているつもり」の状態で、プレゼンテーションに入ると、ズレが生じ、肝心なところでピントが合わず、お客様の心に届かないことになるのです。

 一通りの提案をした後に、お客様が「一度考えさせて」「もう一度家に帰って検討する」などと言われる場合がよくありますが、これはピントの合っていない状態でプレゼンテーションを行ったことが原因です。ピントが合っていれば、「すぐさまやりたい!」となるはずです。このピントをいかに合わせて、お客様の心に届く、インパクトあるプレゼンテーションを行うかが最も重要といえるでしょう。

 そのために質問を使います。お客様の欲求・ニーズを引き出し、課題を明確にするための質問を適切な順番に組み立てたものが質問型営業なのです。これは誰にでもできる簡単な方法で、トップセールス、売れる営業になれるものなのです。特に、プレゼンテーションでは効果を発揮するでしょう。

今の営業方法の多くは説明型営業

 日本の営業手法というのは、「おもてなし」の言葉にあるように、お客様を立てるお客様主体のものでした。それが高じて、営業マンが足しげくお客様のところに通いつめるような営業にまでなったのかもしれません。お客様はそのような営業マンの熱意に負けて、購入するということもあったでしょう。でもこれが日本の営業の良さでした。

 その後、アメリカの営業手法が日本に導入されました。非常に論理的で、体系付けられた「プレゼンテーション」という名の営業手法でした。この営業手法が入って、40年以上になります。今の日本の多くの営業マンはこの営業手法を取り入れています。効果的なこのプレゼンテーションで成果も上がりました。ただ、問題がありました。それは営業マンが説明を主軸にプレゼンテーションを行い、お客様はそれをひたすら聞くということです。

 カナダの「TED」という番組が全世界に広がり、今、ユーチューブなどでも紹介されています。これは、学術・エンターテインメント・デザインなどさまざまな分野の人物がプレゼンテーションを行う番組です。この番組こそが、プレゼンテーションの見本のようなものです。聴衆が聞く姿勢を持って発表者のプレゼンテーションを聞くのです。このようなプレゼンテーションであれば、最大の効果を示すでしょう。

 欧米では、このTEDに見るようなプレゼンテーションが営業の分野にも持ち込まれているのです。欧米では商品・サービスが自分自身に役立つかどうかを判断するためにプレゼンテーションを聞くというスタンスがもともとあるからです。この営業手法が日本に導入されました。しかし、日本での営業の場合は誰もがプレゼンテーションを聞いてもらえるわけではないのです。

 人間関係を重視する日本の場合は、いくらいい商品・サービスであろうと、営業マン自身がお客様に信用してもらえなければ、プレゼンテーションを聞いてもらえる状態にはならないのです。

 ここに、欧米との営業の違いがあったのです。それがわからない日本の多くの営業マンは、その欧米の営業のやり方を忠実に真似しました。日本の風習と合わない違和感のある部分も含め、踏襲してきたのです。それが功を奏して、営業で成果を上げた部分もありましたが、マイナスの部分も大いにありました。それは、説明が中心のため、お客様を説得しようとなりがちになり、お客様自身の欲求・ニーズや課題の聞き込みが非常に弱いという点です。

「日本式営業と欧米式営業では違うはずだ。一体、何が違い、どうすればいいのだろうか?」このようなことを考えた結果、現在の質問型営業とそのプレゼンテーション手法にたどり着いたのでした。