経営×経理
「最強の経理部」をつくる役割分担、5つのポイントとは何か?中小以上の企業内の経理部であれば、ある程度の人数のスタッフがいて役割分担もある。しかしその役割分担は、慣習的なものが大方を占め、環境変化に対応できていないケースも多い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

経理部の役割分担は
きちんと機能しているか

 中小規模以上の企業内の経理部であれば、複数のスタッフが所属しているのが普通で、ある程度の役割分担がなされているでしょう。その構成は売上・仕入・経費など、収益・費用の区分ごとであったり、○部、△部といったセクションごとであったりと、企業の規模や業種により異なるはずです。

 とはいえ、現行の体制で運用されている理由については、効率性を重視しているほか、“ずっとこの方法だから”といった慣習的なものが大方のようです。

 もちろん、経理業務を進める中で何かしらの問題が生じた場合は、経理部のマネジャーらが策を講じているのでしょう。けれどもひょっとしたら、経理部内の役割分担にフォーカスし、それぞれの機能を強化すれば、問題が生ずることを極力抑えられる上に、経営改善・企業の成長にもつながる経理部隊を組織できる可能性が多いにあり得るかもしれません。

 侮れない経理部の「役割分担」。読者の皆さんは本稿を読み進めて、自社の経理部隊の機能性アップを目指さない手はないはずです。

 「ウチは経理部員が全ての仕事をこなせるようにするため、業務のローテーションは欠かせません。部員の急な休みに備えるためにも最低限必要なことです」

 こう語るのは、老舗小売業の経理マネジャーAさん(男性40代)です。彼はいわゆる生え抜き社員ではなく、他の業種の経理担当としてのキャリアもあります。彼が率いる経理部の担当割りは、現預金、売掛金、買掛金、未払金といったように貸借対照表上の資産、負債科目に区分され、それぞれ2人から3人ほどの人員で構成されているとのこと。定期的な監査対応に備えるため、ダブルチェックを励行するなど、公正な処理を心がけているそうです。

 経理部の役割として優先順位の高い“公正性”に重点を置き、欠員が生じた場合でも即対応できる経理部隊ですが、この体制で充分に機能が果たされているのでしょうか。私は「現行の方法で何か課題はありませんか?」と質問したところ、彼は真顔で「パーツ仕事しかできない経理部隊で形成されていることを危惧します。各事業所の経営状況を精査するのは私と上の部長ですので、役割分担についての改編も視野に入れています。部員らに成長してほしいし……」との回答を得たのです。

 どちらかと言えば、歴史の長い企業で働く社員は現行の方法について疑うこともなく、同じ分担・方法で仕事を進めている印象を持ってしまいがちですが、他の業種の経理としてのキャリアも持つ彼の意識は異なるようです。

Special Columns


大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

⇒バックナンバー一覧