大腸がん予防大腸がんを予防するには適度な運動が重要です Photo:PIXTA

がん治療には一生懸命でも、
予防や早期発見への意識は低い日本人

 日本の国民皆保険制度は、国際的に高品質の医療を国民が公平かつ低コストで受けられる点で、世界に誇れる医療システムといわれています。一方で、様々な問題も抱えています。

 医療費は年々うなぎ上りで、財政的にシステム破綻するのではないかと危惧されています。加えて、日本の医療制度は治療に重きが置かれており、予防の概念があまり育まれていません。すなわち、病気を治すことのみが医療保険の適用となり、病気を予防することは保険でカバーされません。

 国民も医療従事者も病気を治療することには専心しますが、積極的に予防する姿勢に乏しいようです。がん医療においても早期治療の重要性は強く説かれているものの、戦略的な予防策が十分講じられているとはいえません。そして、各種がん検診の受診率は、先進諸国の中で日本は最低レベルです。

 大腸がん検診(便潜血検査)の受診率は米国が52.1%なのに対して日本は24.9%と半分以下です。また、子宮がん検診や乳がん検診も有効ながん検診と評価されていますが、それらの受診率が先進諸国では軒並み80%前後なのに対して日本は40%程度です。隣国の韓国でも70%以上の受診率であり、日本だけが極端に低い受診率になっています。

 また、国立がん研究センターが集計した「がんの統計2017」で、主要ながんの診断時の病期(ステージ)を見ると、胃がんは早期(ステージ1)で発見される割合が60%以上であるのに対して、大腸がんは20%程度です。

 同様にステージ1で発見される割合が低い肺がんや膵臓がんは、そもそも早期発見が難しいのですが、大腸がんに関しては、便潜血検査や大腸内視鏡検査など有効な検査の手法が確立されているので、早期発見が難しいわけではありません。にもかかわらず、大腸がんがステージ1で発見される割合が小さいのは、無症状のうちに検診を積極的に受ける人が少ないことが原因と考えられます。

 実際、便秘傾向、下血や腹痛など自覚症状が出てから初めて検査を受けるという方が多いため、進行がんで発見される割合が大きくなっています。もし早期に発見できれば、大腸内視鏡検査時にがんを切除できることもあり、その場合は追加治療も不要です。内視鏡検査を受けるのみで治療が完結することになります。

 一方、発見時期が遅れ、がんが発育して周囲に広がり肝臓や肺に転移などをしてしまうと、広範囲の切除手術や複数の化学療法を受けなければならなくなります。