経営×ソーシャル
企業の遺伝子
【第14回】 2018年9月18日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

オリックスは「隣へ、そのまた隣へ」の精神で
リースの導入から事業の多角化を成功してきた

オリックスのキーパーソンに、クオン代表が聞く

新しい金融手法の「リース」を日本に導入して以降、常に隣接分野に事業領域を拡大してきたオリックス。どこまでも終わりなく、時代の先を走り続ける同社の“DNA”とは――。オンライン消費者コミュニティの開発・運営を手がけるクオン株式会社の武田隆代表取締役が、オリックス株式会社 執行役兼グループ人事・総務本部長の三上康章氏に、同社の「企業の遺伝子」を聞いた。(この記事は2017年11月15日収録のラジオ番組「企業の遺伝子」の内容を活字にしたものです/オリジナル番組制作:JFN、番組企画:クオン株式会社、画像提供:オリックス株式会社、構成・編集:編集工学研究所、番組パーソナリティ:武田隆、春香クリスティーン)

リースから融資、不動産へ、
事業領域を次々に拡大していった

三上康章(みかみ・やすあき) 1968年生まれ。1990年オリックス株式会社に新卒で入社。大阪・東京で法人営業、財務部門で資金計画策定、事業投資部門で企業買収などに携わった後、米国現地法人の財務責任者として赴任。帰国後、宮内義彦代表執行役会長兼グループCEO(当時)の秘書役として会社創立50周年やCEO交代などの節目を経験。2017年より執行役兼グループ人事・総務本部長兼職場改革プロジェクト推進担当。2018年より取締役会事務局長を兼務。三上康章(みかみ・やすあき) 1968年生まれ。1990年オリックス株式会社に新卒で入社。大阪・東京で法人営業、財務部門で資金計画策定、事業投資部門で企業買収などに携わった後、米国現地法人の財務責任者として赴任。帰国後、宮内義彦代表執行役会長兼グループCEO(当時)の秘書役として会社創立50周年やCEO交代などの節目を経験。2017年より執行役兼グループ人事・総務本部長兼職場改革プロジェクト推進担当。2018年より取締役会事務局長を兼務。

春香 オリックスと聞くと、まずはプロ野球のオリックス・バファローズが浮かびます。

三上 皆さんそうおっしゃいます。オリックスはかなり広い領域で事業を展開していますので、外から見ると何の会社かわかりづらいと思います。

春香 事業範囲を教えていただけますか?

三上 当社はリース業でスタートしました。その後、リースの持つ「金融機能」と「モノを見定める専門性」を生かし、リース物件の取り扱い範囲をOA機器から自動車、船舶、航空機などに広げる一方、金融の知見をもとに融資や投資、生命保険業や銀行業も手がけるなど、隣接する事業分野へ進出してきました。

近年では環境エネルギー事業や、運営事業にも力を入れています。運営事業と言っても多岐にわたっていて、オフィスビルや物流施設から、旅館やホテル、有料老人ホームや空港まで手がけています。すみだ水族館や京都水族館も自社で運営しています。

春香 水族館もですか!?

三上 はい、オリックスという名前が表に出ていないものもあるので皆さんあまりご存知ないのですが、意外と「オリックスがやっています」という事業がたくさんあります。

春香 本当に多岐にわたっていろいろなことをやられているんですね。

三上 そうですね。一見全然違う飛び地の事業を手がけているように見えますが、実は会社の歴史を紐解くと、つながっている事業ばかりです。「今、足元でやっている事業の専門性を生かしながら、隣の領域に進出していく」というのがオリックスのやり方です。足りないものはM&Aなどを通じて強化し、多角化してきました。

春香 なかなか全貌が掴みづらいですが、どんな経緯で始まった会社なんですか?

三上 設立時は「オリエント・リース株式会社」という名前でした。当時の日綿實業(現・双日)と三和銀行(現・三菱UFJ銀行)が中心となって呼びかけ、3つの商社と5つの銀行の出資によって設立されました。

武田 8社もの大企業による出資で始まったんですか。設立は何年ですか?

創業当時の様子。左から、乾恒雄(2代目社長)、宮内義彦(3代目社長)、リース事業のノウハウ取得に協力してくれたU.S.リーシング社のショーンフェルド氏。創業当時の様子。左から、乾恒雄(2代目社長)、宮内義彦(3代目社長)、リース事業のノウハウ取得に協力してくれたU.S.リーシング社のショーンフェルド氏。

三上 1964年、ちょうど前回の東京オリンピックの年です。当時、三和銀行のニューヨーク支店長でリース業について研究していたのが、オリックス2代目社長となる乾恒雄です。同じく3代目社長となる宮内義彦も、会社設立の前年に米国U.S.リーシング社へ派遣され、約3ヶ月の研修で副会長のショーンフェルド氏よりリースの仕組みを学びました。

春香 どうしてそんなにリース業が注目されていたのですか?

三上 戦後の高度経済成長期、企業は生産性向上や競争力強化を目指し、設備投資の必要に迫られていた時期でした。そんな中、アメリカで急成長しているリースという手法に期待が高まっていたそうです。銀行は新しい金融の手法として、商社は専門商社から総合商社への転換を目指してリース業に投資をしたのだと思います。

武田 乾さんも宮内さんも、オリエント・リースの創業時からいらしたんですね。

三上 はい、2人とも創業メンバーです。創業当時の社員は13名でした。

武田 今のオリックスさんを思うと、13名とは本当に小さな船出です。

三上 そうですね、まさに今で言うベンチャー企業ですね。



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


企業の遺伝子

私たちが日々の生活で接する商品やサービスは、それらを生み出す企業のアイデンティティの"結晶"でもある。その企業はどんな経緯で創業され、どのような人たちが組織に集い、どのような想いでモノづくりをしているのだろうか?企業のアイデンティティはどれひとつとして同じものはなく、それぞれに個性的でドラマチック。そこに否応なく映し出されるのは、いくつもの歓喜と困難を経験し、時代を超えて受け継がれる“企業の遺伝子“だ。この連載では、注目企業に宿る彩り豊かな遺伝子のストーリーを、各社のキーパーソンたちが語り尽くす。聞き手は、オンライン上のマーケティング施策「消費者コミュニティ」の構築・運営を通じて累計300社を支援してきたクオン株式会社の代表・武田隆氏。

「企業の遺伝子」

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