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弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年

再選挙の末に派閥が推す候補が当選
日弁連新会長は錯綜する利害対立をどう束ねる?

【第8回】 2012年5月2日
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日本弁護士会会長選挙は、史上初の再選挙の末に山岸憲司弁護士に決まった。今回の選挙は、言い換えれば、山岸氏を推す派閥勢力が再び影響力を取り戻そうとした選挙だった。結果的に山岸氏当選によって、派閥は息を吹き返す可能性がある。そして、それは司法制度改革の行方に影響を与えるだろう。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

無限ループ手前の
3度目で決着

 “無限ループ”は避けることができた。

 4月27日夜、平成24年度・25年度の日本弁護士連合会会長が決まった。史上初の再選挙の末に、山岸憲司弁護士が、現職で2期連続会長就任を目指していた宇都宮健児弁護士を破った。再選挙は史上初。2012年1月11日に公示されてから、選挙戦は実に3ヵ月半に及んだ。

 2001年から進められてきた司法制度改革によって、弁護士の就職難や法曹を目指す人の減少など、この2年でさまざまな問題が明らかになり、深刻化している。もはや問題を放置することはできないほど、弁護士界では不満が噴出していた。今回の選挙は、司法制度改革によって決められた弁護士界の進むべき道を、どのように修正をするのかという点で、注目が集まっていた。

 会長選挙の選挙権は全国の弁護士が持つ。当選には、最多得票に加えて、全国の弁護士会の3分の1(18会)以上で最多得票を取るという二つの条件を満たしていなくてはならない。2月10日の第1回目の投票、3月14日の上位2人による再投票でも当選の要件を満たせず、再選挙となっていた。

 再選挙でも、立候補者は山岸氏と宇都宮氏。公約にも1回目の投票時から大きな変化はなく、支持層の変動は少ないだろうという見方から、永遠に当選者が決まらない“無限ループ”に陥ると見られていた。

 弁護士たちの間では、「もううんざり」「そもそも興味が無い」「だれがなっても同じ」など冷ややかな反応が大勢を占めていた。そんな空気を感じていたのか、2月27日の夜、「決まってよかった。もう誰でもいいから、とにかく決まってくれ、という気分だった」と、日弁連関係者は胸を撫で下ろしていた。

 当選後の記者会見で、山岸新会長は「空白期間を取り戻すべく、会の執行に邁進したい。法曹人口問題、養成制度問題などの課題に早急に取り組んでいく」と抱負を語った。

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弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年

司法制度改革から10年が経った。法曹界の2割しか機能していない現実を「2割司法」と呼んで問題視し、矢継ぎ早に司法制度が改革されてきた。市民に近い弁護士界を掲げたり、弁護士人数を増やそうと司法試験制度や法科大学院制度を整備したり、さまざまな改革を行った。同時に、過払い金返還請求という空前のバブルも到来した。しかし、弁護士界は制度の理想と現在の姿は必ずしも一致していない。改革とバブルに激しく揺らされ、ただ混乱をしているように見える。

「弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年」

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