今も中国のテレビでは「道あらば、トヨタ車ありき」というトヨタのコマーシャルが流れている。しかしそのキャッチコピーは1980年代から比べれば、徐々にトヨタの遠い夢になりつつある。2001年、日本からの強い支持を得て中国もWTO(世界貿易機関)に加盟した。当時はたして何人が、今日の中国市場の爆発的な販売台数増加を予測できただろうか。2002年の325万台から2005年の576万台を経て、08年に938万台、さらに09年に1384万台、10年1806万台、11年1850万台とどんどん拡大していき、今年(12年)は2000万台を超えると予測されている。自動車生産大国の日本は、もちろん中国での販売台数をかなり伸ばしたが、欧米韓国と比べてシェアではむしろ低下している。その最大の原因は、現地化の立ち遅れにあると思われる。(在北京ジャーナリスト 陳言)

現地での生産が立ち遅れ
シェアが5%を超えないトヨタ

 2011年にトヨタは中国で89.5万台の自動車を販売した。12年には100万台に躍進したいとトヨタの関係者は筆者に語る。

 トヨタからは非常に強いやる気を感じる。しかし、中国全体の販売量から見ると、トヨタは今も5%のシェアを取れない。12年に100万台を実現しても、やはりシェア5%には達しない。

 欧米の自動車メーカーと比べると、その立ち遅れはより明確だ。同じく11年にGM(ゼネラルモーターズ)は255万台、VW(フォルクスワーゲン)も226万台を販売した。とても短期間でトヨタが追いつくことができる数字ではない。中国進出がかなり遅れブランドも相対的に劣る韓国の現代(74万台)と比べても、トヨタの地位は危うく、徐々に追い抜かれていくかもしれない。