「カタリスト(触媒)」として
変革を促す力

―日本企業がこの大転換期にグローバルな競争力を獲得する上で生かすべき特質もあるのではないか。

 日本人と日本企業の最大の強みは、「自走できる現場」に代表される「組織力」だ。これを生かして、グローバル企業に伍していくべきだと考える。ただし、これまでの日本は、リーダーシップに関していえば、個人の資質に依存する傾向が強かった。一人の天才的な経営者が偉業を成し遂げても、それをもう一段スケールの大きな変革へと発展させる「組織的リーダーシップ」が、必ずしも十分に機能していないケースが多かったと見ている。

―変革を促す上でデロイト トーマツ グループは何ができるのか。

 われわれは1万2000人を超える日本最大級の総合プロフェッショナルファームとして、業界をリードする存在だ。単なる相談相手ではなく、企業や社会全体に積極的に働きかけて変革を促進し、熱量を上げる強力な「カタリスト(触媒)」だと考えている。全世界26万人のデロイトのネットワークもフルに活用することで、変化を妨げる課題を解決し、本当の意味での変革を促していく。

社会的公正を追求する姿勢と総合力で
複合的な課題を解決

―政府に提言を行ったり、組織のリーダーを支えたりするシンクタンクやコンサルティングファームは他にもあるが、デロイト トーマツ グループは何が違うのか。

 社会的公正を追求する企業姿勢と圧倒的な総合力だ。監査法人を祖業とする私たちのグループは、インテグリティ(誠実性)や社会的公正の実現に対する強い使命感を理念に掲げている。こうした使命感を背景に、さまざまな事象を客観的に定量化する技量と相まって、これまでも、個別ビジネスの枠を超えて多様な社会制度変革やルール形成に関わってきた。

 このような社会的構想力は、これからのビジネスの変革にとって大きな力になる。また、デロイト トーマツは、経営に関わるあらゆる専門分野を網羅した、圧倒的な総合力を有している。個別のテーマ領域を超えた複合的な課題への対応力が大きな強みだ。