経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2016
【第4回】 2012年5月8日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

【武邑光裕氏×武田隆氏対談(後編)】
“つながりの時代”はマスメディアをどう変えるか

前回お送りした対談前編「フェイスブックから離れ始めたアメリカ人」では、ソーシャルメディア先進国とでもいうべき米国で人々の間に「ソーシャルメディア疲れ」が広がっている点を紹介、プライバシーを担保にして人々がつながり合う社会のリスクについてもご指摘いただいた。
今回お送りする後編では、議論をさらに一歩進め、ソーシャルメディア時代にマスメディアはどう変わっていくかについて語っていただく。昨今耳にするキーワードのひとつ「オープンジャーナリズム」とはどのようなものなのか、英国『ガーディアン』紙の事例も交えて解説していただこう。

【佐々木俊尚氏×武田隆氏対談】2012年、ソーシャルメディアに「何」が起こっているのか?(前編)」 から読む
【佐々木俊尚氏×武田隆氏対談】2012年、ソーシャルメディアに「何」が起こっているのか?(後編)」 から読む
【武邑光裕氏×武田隆氏対談(前編)】フェイスブックから離れ始めたアメリカ人」から読む

一般消費者が集まってCMを作る試みが
うまくいかない理由

武田隆(たけだ・たかし) エイベック研究所 代表取締役。 日本大学芸術学部にてメディア美学者 武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「企業コミュニティ」の理論と手法を独自開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2011年7月に出版した著書『ソーシャルメディア進化論』は第6刷のロングセラーとなっている。1974年生まれ。海浜幕張出身。

武田:以前、先生に教えていただいたバーバリーの「アート・オブ・ザ・トレンチ」プロジェクト。これはとても興味深いサイトですね。イギリスのバーバリーがわざわざニューヨークの写真家スコット・シューマンを使っています。

 シューマンは「僕はファッションを撮るんじゃない、スタイルを撮るんだ」と豪語する写真家で、被写体がその服を選ぶときの背景、その人ならではの、抗いがたく出てきてしまう「らしさ」を、彼は「スタイル」だといって写真で伝えている。

 「アート・オブ・ザ・トレンチ」はトレンチコートを着た一般市民が淡々と張られているだけのサイトですよね。これが輝いています。

武邑:すごいですよね(笑)。

武田:この対極ともいえるサイトがあります。一般の消費者が集まって、みんなでCMを作るというソーシャルメディアです。企画自体は楽しそうなのですが、実際は、おもしろいCMはなかなか生まれない。こちらは輝きません。

武邑:「フィルモ」ですね(編集部註:フィルモとは、企業から依頼されたCMを消費者参加型で制作・配信するサービス。2007年2月にスタートした同サービスは、2011年11月30日をもって終了した)。

武田:はい。広告を作るという行為は、ターゲットが誰なのか、広告する商品やサービスの特性、プラスの面もマイナスの面も分析して、それらを組み合わせて作っていく仕事です。こんな複雑で経済的な作業を、一般の消費者の集合知で作れというのはむずかしい。

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論2016

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