香港の街並みPhoto:PIXTA

毎年の税制改正により、これまでさまざまな節税スキームがふさがれてきた。その多くが会計検査院の指摘を受けてのものだ。そうした中、2年近く前に指摘された「海外不動産を使った節税スキーム」の行方に注目が集まっている。(税理士・公認会計士 木下勇人)

衝撃からはや2年近く
見送られたとの安心は禁物

 2016年11月、会計検査院が「平成27年度決算検査報告」を公表した当時、業界には衝撃が走った。報告の内容が「海外不動産を使った節税スキーム」に対する警鐘だったからだ。

 しかし、公表されてはや2年近くが経過したものの、これまでの税制改正では反映されていない。毎年、論議にはなるものの、優先度の高い項目が他に多かったため、見送られたのだ。

 だが、見送られたからといって、心配しなくていいというのは大きな間違いだ。というのも、詳しくは後述するが、会計検査院が報告を公表するとその数年後の税制改正に反映されることは、これまでの歴史が物語っているからだ。