ダメ営業マンダメ営業マンも上司のマネジメントで変わることができます(写真はイメージです) Photo:PIXTA

最近、新しい部署に異動したり、転職したりした人もいるかもしれない。新しい職場でなかなか営業成績が上げられない人、一方ですぐに上げられる人がいる。プルデンシャルグループのジブラルタ生命保険の専務執行役員、AIGエジソン生命の代表取締役副社長を歴任した八木昌実氏は、それ以前にプルデンシャル生命の支社長として全国最下位クラスの支社を全国2位に育て上げるなど、管理職として一流の手腕を発揮して数々の部下を育ててきた。では、そんな一流のマネジャーから見て、できる人とできない人の違いはどこにあるのか。また成績が上げられない人でも、どんな行動を取り、上司のどんな支援があれば改善できるのかを聞いた。

できない理由を
並べる習慣がついていないか

 営業などの成績が悪い人というのは、なぜ成績が悪いのでしょうか。

 数多くの部下と接してきた私から見て、そうした人は長い悪い習慣から逃れられないでいることが多いように思います。「自分なんて、どうせ」という負の思考回路にとらわれているのです。

 できない理由をいくつでも並べるといった癖がある人もいます。一生懸命なんて、バカがやることだ、とひねている人もいます。できないことを、チームのせい、上司のせい、顧客のせい、会社のせい、経済のせい、政治のせい、社会のせい、など、自分以外のものに全部責任転嫁している人もいます。できない自分を正当化する理論武装に長けてしまう人もいます。

 あるいは自分を客観視できていないこともあります。自分の適性とやりたいことが違っていて、苦手な分野のことをしているとか、ちょっと目先を変えて違った職種に目を向ければ、自分のよさが生かせるのにそれに気づかないということもあります。しかもそういう人に限って、自分をオープンにする、ということが苦手で、あまり他人に干渉されたがりません。

「あの人、あの仕事は全然向いていないのに気の毒に」と思ったり、「ああいうところちょっと直せばいいのに、損しているわね」などと思ったとしても、そんなことを、わざわざおせっかいにもその人に直接言って嫌われたり、面倒がられたりしたくないのが人間です。気づいていても誰も注意してはくれません。それは上司がきちんと見抜いて、こっちのほうをやってみたら、と言うべきなのです。

 ともかく、全てが負のスパイラルになってしまっている、成績の悪い人をどうやって、やる気にさせ、実績を上げてもらうか。

 私があるチームを任されたときのことです。私は毎朝朝礼でひとりずつ、営業で経験したことや、目標などを話してもらうことにしていました。こういうとき、業績のいい人だけに話させるのは悪手です。全員に機会を与えることで、いろいろな成功事例、失敗事例が挙げられて、お互いに勉強になるし、発表の訓練にもなるからです。