各種の運用対象資産の動向 存在感増す先物投資家

 ここ最近マーケットのメインプレーヤーとなりつつあるのが「CTA」だ。彼らの運用手法はさまざまだが、マネージドフューチャーズと呼ばれる、世界各国の先物をアルゴリズム取引を用いて売買するケースが多くなってきている。運用対象資産は商品先物に限らず株式、債券、為替と幅広い。

 上表の運用対象別・騰落率を見ると、最近の商品市況の高騰を反映して商品先物が上位に並ぶ。ボラティリティも高く、CTAはもちろん、株式や債券のハイリスク運用の資金が流れ込んでいるのがわかる。

 ただし、同じ非鉄でもすずは騰落率上位で鉛は最下位、同じ農業関連でも大豆は上位で小麦は下位、商品市場はよりミクロの動きを反映し、さまざまな動きとなる。しかも、商品先物は主戦場が米国であることやマーケット規模が小さいことなどから、なかなか日本人が手がけづらいのも確かだ。

 日本の投資家にとってはやはり、流動性の高い「日経平均先物と国債先物のスプレッド取引」が最もポピュラーだろう。

 債券先物は銀行のディーリング部門縮小のあおりで出来高、建玉共に大きな伸びはないが、日経平均先物は出来高、建玉共に近年急増している。ネットトレーダー、先物ディーラーの増加に加えて、CTAなど先物を運用のコア戦略として位置づける投資家が増えてきていることが背景にある。

 その債券先物と日経平均先物の動きを見てみよう。両者の相関係数が1に近ければ順相関、▲1に近ければ逆相関である。

 両者は中央図のように、長期的には逆相関性が高いことが確認できる。債券と株式が強い逆相関を示す相場は、株式市場が金利動向に左右されるケースで起きる。そのため、株価がピークの手前(あるいはピーク時)になると業績面への意識が強くなり、逆相関性が弱まることが多い。

 また、建玉が順相関性を高めると、価格の逆相関性が高まる傾向がある。本来、価格が逆相関であるときには建玉も逆相関になってしかるべきだ。にもかかわらず順相関になるということは、両建てで上昇と下落どちらにもリスクを取っていることがわかる。

 下図の短期の相関を見ると、現在は強い逆相関を脱しようとして脱し切れず、再び逆相関に向かいつつある。今回は債券相場に支配される期間が2000年以降では最長となりそうな格好である。

(エクイティトレーダー 山独活継二)