激変!エネルギー最新事情
【第18回】 2018年9月28日
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ダイヤモンド・オンライン編集部
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「原油100ドル超え」はあるか?先高観に覆われる相場の正体

 トランプは大統領選時の公約に従い、5月にイラン核合意から離脱。核合意に基づき経済制裁が解除されていた同国に対して、最大級の経済制裁を再発動すると表明した。それに伴い、米国の同盟国にもイランへの制裁強化を要請している。

 エネルギーに関する制裁の猶予期限は11月4日。それ以降、イランから世界への原油輸出は大きく落ち込む見通しだ。原油・天然ガス生産において世界有数の資源エネルギー大国であるイランの原油が市場に出回らなくなる影響は大きい。野村證券 経済調査部の大越龍文・シニアエコノミストは、「当初、『今回は米国単独だから影響は限定的だろう』と見られてきた制裁だが、足もとではすでに影響が出始めている」と語る。

イラン制裁再開の
影響は前回を上回る?

 米国の大手情報サービス企業・ブルームバーグによると、イラン制裁の表明から8月までの間に、米国の同盟国によるイラン産原油の輸入制限が顕著になっているという。はじめは制裁に反対していた各国も、「米国内で事業を続ける自国企業が、トランプ政権によって不利益を被るリスクを避けたい」と考えているようだ。

 たとえば、EUの輸入は日量50万バレルから20万バレルまで低下しており、11月の制裁発動でさらに10万バレル程度落ち込む見通しだ。イランから安く原油を買っていたインドも、同40~50万バレルから20万バレルまで急減する見通し。韓国と日本は同10万バレルがゼロへ。イランの友好国で輸入を継続する見通しの中国を除いても、主要取引先だけで原油輸入は70~80万バレルも減る見通しだ。

 過去、オバマ政権による制裁時にイランの原油生産量は約25%、日量100万バレル減少して280万バレルとなったが、こうした状況のなか、今回の制裁では前回に匹敵するか、それを上回る減り方になる可能性がある。8月のイランの原油生産量は、OPEC総会で定められた日量約380万バレルの生産上限枠を、すでに30万バレル程度下回っている。

 一方、実質的な国家破綻を迎え、生産の落ち込みに歯止めがからないベネズエラの状況も予断を許さない。ブルームバーグによると、日量約197万バレルの生産枠に対して8月の生産は133万バレルと、落ち込みが激しい。長引く米国の経済制裁の影響もあり、当局のアナウンスによれば、年末までに100万バレル近くまで落ち込みそうだ。

 そんななか注目が集まるのが、盟主サウジアラビアをはじめとするOPEC(石油輸出国機構)加盟国、非OPECの大国ロシアが、イランやベネズエラの減産分を穴埋めできるかどうかである。それができないと、世界の原油供給はおぼつかないだろう。

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原子力発電所の再稼働のメドが立たない今、エネルギーの安定的な確保ができるかは国民生活にとって非常に重要な意味を持つ。国内ではスマートコミュニティや大型蓄電池、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー、地熱発電、メタンハイドレートなど、さまざまなエネルギー源の実用化へ検討が進められている。エネルギーに関する最新事情をレポートする。

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