出張や休暇でオフィスから長期で離れるとき、メールの自動返信機能を活用して不在通知を送る人は多い。いつまで不在なのか、誰が代理なのかという事務連絡を完結に記載するケースが一般的だが、より個人的な内容を記すことでコミュニケーションツールとして有効活用できると筆者はいう。本記事では、そのための3つの具体的な方法を明かす。


 誰でもデバイスの電源を切って、自分自身を充電する時間が必要だ。研究によれば、電源を切る(特にメールを使わない)ことでストレスが減り、生産性が高まることがわかっている。

 とはいえ、実際に一歩踏み出して、適切な不在通知メッセージを送り、休暇中であると明確に伝えることをためらう人は少なくない。筆者自身、不在通知メッセージが不測の事態を招くのではないかという不安と、いつも闘ってきた。それは、サボっていると思われるのではないか、チャンスを逃してしまうのではないか、といった不安である。

 しかし、自分のイメージが悪くなるのではないか、成功を阻むのではないかと考えて二の足を踏む人の多い、この不在通知メッセージには、実は正反対の効能がある。うまく利用すれば、成功につながる効果的なツールになりうるのだ。休暇やカンファレンス、あるいは出産のような人生の大きな出来事の際に、自動応答の機能を賢く使えば、同僚やクライアント、取引相手と社会的なつながりを築くことができる。

 あなた自身に関するニュースや、休暇を利用した旅行のこと、あるいは会社の製品やサービスについて、ちょっとした情報を共有するだけで、ビジネス上の人間関係を深めたり、会社とクライアントとの結びつきを強めたりできる。研究によれば、「社会的つながり」は、人間関係に意義と深みを与え、結果として長期的な幸福感をもたらす要因となる可能性が高い。仕事のパフォーマンスに大きく貢献する可能性もある。ポジティブな関係にあると感じる相手とは、いっしょに仕事をしたいと考える可能性が高まり、問題の解決策をともに見つけたいと考える可能性も高まる。こうしたつながりは、相手をよく知っているという感覚から生まれる。

 にもかかわらず、大半の人は、不在通知に「無難な」メッセージを選ぶ。何月何日まで出社しないと伝え、急ぎの場合の連絡先として同僚の名前を付け加えるといった内容だ。不在通知メッセージのおよそ98%は、このタイプだろう。

 私自身、自分の仕事人生において、この種のメッセージを文字通り何万通も受け取ってきた。もっとアグレッシブな自動応答メッセージを受け取ったこともあるが、極めてまれである(0.00001%)。

 たとえば、作家のダニエル・マロリー・オートバーグは、こんなメッセージを書いたと、『アトランティック』誌で紹介されている。「私は現在休暇中で、いかなる用件の電子メールもいっさい受けつけません。休暇中に届いたメールをあとから読んだりもしません。そのような行為は、休暇という体験と両立しないと感じるからです」

 この手のメッセージは自分らしくないと、筆者は考えている。だが、共感できる部分はある。仕事に復帰して未読のメールの山に直面するだけで、休暇の意義が台無しになった気がするからだ。しかも、休暇中に届いたメッセージの大半は、すでに旧聞に属していたり、解決済みだったりする。

 出版社に勤めている友人は、休暇中に届いた電子メールがゴミ箱に直行するよう設定し、発信者には、自分が仕事に戻った時点でまだ重要な用件だったら再送してほしい、と伝えた。仕事に戻った初日に受け取った電子メールは3件だったという。

 こういうアグレッシブなメッセージは気が進まないという人は、筆者が受け取ってきた不在通知メッセージの残り2%から学ぶべきことがありそうだ。通常の不在通知メッセージにたった1行付け加えるだけで、無難なメッセージを有用なものへと変えられる場合があるのだ。