今、顧客減、会員減に悩んでいる企業は多い。中でも定額課金=サブスクリプションモデルで利益を上げている場合には、会員取得ばかりに目を向けて、離れてしまう顧客には、なかなか有効な手を打てない現状だ。
元WOWOWグループ初の女性取締役であり、顧客を引き留める「リテンションマーケティング」で実績を上げた大坂祐希枝氏が初の著書である『売上の8割を占める 優良顧客を逃さない方法 利益を伸ばすリテンションマーケティング入門』を発売。
この連載では、この著書から一部抜粋してご紹介する。

社内の各部署がバラバラな基準で蓄積したデータを、
どうやって集約するのか

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 第17回第18回第19回では、通り一遍な「使えない」属性データしかとっていなかったWOWOWが、顧客データから新規獲得に役立つ知見を得るために、カスタマーセンターをデータ蓄積拠点にしたというお話しをしました。

加入申し込みから解約申し込みまで、つまり入口から出口までの顧客対応を担っていたカスタマーセンターに、「顧客の獲得や維持に役立つデータを収集し蓄積する」というミッションを
追加したのです。

そこでまず実施したのは、WOWOWの社内各所に点在していた大小さまざまなデータの収集でした。

 日本の多くの企業では、部署の目的や必要性に合わせてデータが獲得され、各部署に蓄積されています。それらは他の部署のデータとクロス分析することを想定していないので、言葉の定義、項目の立て方、範囲などがバラバラで、そのままでは他部署のデータと突合することができません。

 当時のWOWOWもまさにそのような状態でした。

 そういう場合は、いろいろな様式で蓄積されたデータをいったん共通形式のデータにしてからクロス分析するのが一般的です。

 データ規模が小さければ、このやり方で社内でデータを突合せて分析できる場合があります。
 規模の大きいデータ同士の場合は、社内での分析を前提に、BI(Business Intelligence)システムを導入して、目的ごとに分析し分ける方法があります。その場合は、各システムに設定されたデータの組み合わせ方、アウトプットの仕方に合わせることが求められます。