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政局LIVEアナリティクス 上久保誠人

民主党への安易な挑発が、
麻生首相の経済対策を困難にする

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第8回】 2008年10月14日
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 麻生内閣が発足し、臨時国会が始まった。しかし、麻生首相は一向に解散する気配がない。「解散よりも景気対策が民意だ」と訴え、補正予算の早期成立を目指すと同時に、更なる経済対策をまとめようとしている。

 麻生首相は自分のセールスポイントを「経験」であるとしている。これは、政界には数少ない「企業経営の経験」があるからだ。政界の誰よりもビジネスの現場を知っていて、「自民党随一の経済通」だと信じているのだ。だから、麻生首相は景気や金融危機を自分の手で解決したいと考えている。前回指摘したように、麻生首相も「どんな形ででも首相に1回なれればいい」とは考えていない。

与党が麻生首相に望むのは
経済対策ではなく「大衆人気」

 麻生首相が「自分の手で経済問題を解決したい」という強い意志を持つことは悪くない。ただ、強い意志を持っている割には、麻生首相の行動は稚拙で戦略性がない。

 まず、麻生首相は与党議員を解散に向けて走らせすぎた。麻生首相は自民党総裁選で、「次の自民党総裁の役割は、あの小沢一郎と戦うことだ!」など、民主党との戦いを意識していた。これは総裁選後、早期の解散総選挙があると国民や与野党国会議員に思わせるのに十分だった。麻生首相は、「自分がいつ解散するかを言ったことはない」と言っているが、実態としては、「解散風」はマスコミが勝手に吹かせたものではない。

 次に、麻生首相は与党内の多くの議員の支持を得た理由を勘違いしている。与党内の多くは、麻生首相に経済を任せたいと思っていない。経済に関して、麻生首相は自民党の中で「異端」だからだ。元々、自民党内には「財政再建派VS上げ潮派」という経済政策の路線対立が存在したが、「バラマキ」の麻生首相は蚊帳の外だった。麻生首相は、福田政権末期に公明党と組んで突如この路線対立に乱入しただけだ。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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「大物政治家に話を聞いた」「消息通に話を聞いた」といった大手マスコミ政治部の取材手法とは異なり、一般に公開された情報のみを用いて、気鋭の研究者が国内・国際政局を分析する。

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