財政政策って何をするの?

 「財政政策」とは具体的にどんなものか説明します。さきほど「政府が一般企業から買っている商品」と書きましたが、でも別に政府が「よし、国民のためにジュースを買おう」といってコンビニで買い物するわけではありません。もっと大掛かりなものを買います。

 財政政策でいう「商品」とは「公共事業」としてつくられた道路、ダムなどです。おおまかにいうと「財政政策」といったら「公共事業を実施すること」です。

 政府のお金で道路やダムをつくったり、いろいろな施設をつくっているということです。個人の買い物とは規模がまったく違いますが、これも「誰かにお金を払ってつくってもらっている」という意味では「商品を買っている」ということと同じです。つまり国が財政政策を実施すると、世の中の商売の量が増えて、景気が良くなるんです。

 財政政策をたくさん実施すれば、景気も「たくさん」良くなるし、少ししか実施しなければ、「少ししか」景気が良くならない。つまり、政府は財政政策を通じて日本経済をある程度コントロールできるわけです。

なぜ国が景気をコントロールするの?

 なぜ政府や日銀がいろんなことをしてまで、景気をコントロールしなければいけないのかというと、経済とを安定的に成長させるためです。

 景気が悪くなると、会社の業績が悪くなって、ボーナスが減ったり、将来が不安になったりします。なので景気が悪くならないように、今よりも良くなるように国が働きかけるのは重要なことです。これはわかりやすいと思います。
しかし逆に、景気が良くなりすぎてもダメなんです。

 景気が良くなるのであれば、商売もうまくいって、給料も増えて、社会が明るくなるからいいことばかりではないか、と思うかもしれませんが、そうではありません。

 たしかに、好景気は望ましいことです。でも、好景気が永遠に続くことはありません。必ず終わり、その後に「反動」がきます。実はその反動が怖いんです。日本でも、バブル期のように今から考えれば異常ともいえる好景気がありました。しかし、バブルがはじけたあとにはその反動で、深刻な不景気になりました。「振り子」と一緒で、景気が良くなればなるほど、そのあとの不景気が深刻になってしまうのです。

 去年までは給料が1000万円もらえて、年に3回海外旅行にいけて、ブランド品もたくさん買えたけど、今年は給料がいきなり100万円になってしまい、住んでいた家も追い出されてしまう、というようなことが起こります。

 仮にこういう経験を一度でもすると、国民は常に不安を感じながら生活しなければならなくなりますね。景気のアップダウンが激しいと、国民の生活が不安定になり、みんな安心して暮らしていかれなくなります。だから、こういう事態を避けるために、「国」が一生懸命経済に介入して、経済が安定して成長するように政策を実施しているんです。 


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