きみって、きれいだよね――。
  面と向かって、仲のいい女友だちにそんなことが言えるだろうか。

 もちろん、酔った勢いなどではなく、素面の状態でだ。恋ごころを抱いている相手ではなく、信頼できる仲のいいガールフレンドのひとりに、である。

 この際、仲のいいガールフレンドがいないという人は恋愛講座の本でも読んで勉強していただくとして、そんなことが言えるわけがないという人は、ちょっと考えてみてほしい。何故、きれいだねの一言が言えないのか――?

 自分はそういうことが言えるタイプじゃないと思っているからか。
  恋人や奥さん以外にそういうことを言うのはよくないと思っているからか。

 それとも、そういったことを軽々しく言うやつを心の底では軽蔑しているからか。
  あるいは、そんなことを口にしたら、女性にどん引きされかねないと思うからか。

 そもそも、女性に“どん引き”されるようなやつに、仲のいいガールフレンドがいるはずもないのだが、仲間どうしで飲みながら、あの子、可愛いよな、というようなことは男性なら誰にでもあるはずだ。女性どうしだってあると思う。純粋にその人を素敵だと思い、チャーミングと思ったら、素敵だと思う感情をそのまま伝えるのは男としての礼儀のひとつでもある。

 たとえば、女性が仕事で何かしらミスをする。あるいは、ちょっと問題がある素行が目立ったとき、きみのそういうところは直したほうがいいぞ、と注意できるのに、容姿や振る舞いや仕草で、素敵だね、チャーミングだね、可愛いね、と言えないのは、私にはアンフェアにしか映らない。

 とは言っても、女性に注意すらできないようなやつに、女性を讃えろなんてのはどだい無理な相談に思えなくもない。この人きれいだな、と思う気持ちを言葉にできないはにかみ屋さんは別にしても、きれいだと思う感情を胸に宿したままでいるのは、むっつりスケベと何ら変わるところがない。