放電加工機で世界をリードしているのがソディックだ。「ソディックがあったからこそ金型作りが変わった」と言っても過言ではない。技術革新の気風は新たな工作機械の世界を広げ続けている。

解決できる道具が
なければ自分たちで作る

ソディック
古川健一 代表取締役社長

 1940年代に旧ソ連で開発され、工作機械としては比較的歴史が浅いのが放電加工機だ。日本での活用が本格化したのも戦後で、放電加工機メーカー、ソディックの古川健一社長の父が、技術革新を遂げてものづくりの現場に定着させた。

​ ソディックは、76年には世界初となる「マイクロコンピューター付きNC形彫り放電加工機」を開発し、高精度加工の先陣となってきた。

 放電加工機とは主に、加工したい形状(雄型)を電極にして加工物(雌型)に転写放電して彫り込んだり(形彫り放電加工機)、細いタングステンや真ちゅうなどのワイヤを電極にして加工物との放電現象により糸のこぎりのように形状を切り抜く加工を高速・高精度で行ったり(ワイヤ放電加工機)するものだ。ソディックは、同社推定で世界トップクラスにある。

ワイヤ放電加工機 AL400G
ワイヤ放電加工機は工具を必要とせず、ワイヤーのみでプログラムに従った複雑・微細形状の超精密加工が可能。ソディックでは要素技術を全て自社開発・製造している

 利用されるのは「切削加工が難しい金型や部品加工」の分野だ。例えば金型の内側にエッジの立った角が欲しいとか、切削工具が入り込めない深い部分を加工する場合などだ。作られる部品や金型の領域は電子部品から自動車部品まで幅広い。

 古川社長は、「お客様の課題を解決できる道具がなければ自分たちで作る。そのシンプルな考え方が変わることはない」と語る。