高精度に金属を「削る」工作機械、高精度に電子部品を「載せる」実装機で自動化や高生産性を追求、業界での地位を確立してきたのがFUJIだ。昨今はロボット技術を積極的に導入しさらに精度、効率性を高めている。

世界の製造現場を変えた
電子部品実装技術

​ 2018年4月、FUJIは富士機械製造から現社名へと変更した。同社は1959年に工作機械メーカーとして産声を上げ、創業当初から代々受け継がれてきたイノベーティブスピリットを原動力に、世界屈指のロボットカンパニーへと飛躍を遂げている。

FUJI
河合孝昌 取締役 専務執行役員
マシンツール事業本部 本部長

「当社の自社ブランド1号機はFS型単能機で、旋削加工部品を量産できる画期的な製品として、自動車業界で大好評を博しました。そして、工作機械の分野で実績を築き、そこで培った技術やノウハウを活用し、自動組立機の分野にも進出していきました」

 こう説明するのは、同社マシンツール事業本部本部長の河合孝昌取締役専務執行役員だ。

 省力化・無人化が進む現代の工場では、人の手に代わって機械が組立作業の多くを担っている。FUJIはこうした変革に先んじ、最先端の製造現場から寄せられる声に応えていった。

「当社の大きな転機となったのは、1970年代の終わりごろ、世界的な大ヒットとなったポータブルオーディオプレーヤー初号機に用いる電子基盤自動組立機の開発と製造を受注したことです。これがきっかけとなり、その後電子部品実装ロボットを手掛けるようになりました」(河合取締役)

FUJIの技術が生かされている工作機械加工例

 以来、FUJIは同分野に注力し、家電やAV機器から情報機器まで、幅広い製造現場で需要が拡大した。電子部品実装ロボットの分野でFUJIは圧倒的な地位を確立しており、例えば、とあるスマートフォンの人気機種に使用されている電子基板の5割程度は、FUJIの電子部品実装ロボットが製造しているという。