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山崎元のマネー経済の歩き方

株式の「リスクプレミアム」は5%なのか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第44回】 2008年8月5日
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 投資家およびファイナンス研究者は「株式のリスクプレミアム」がいくらなのか、切に知りたいと思っている。リスクプレミアムとは、投資のリスクを負担することに対して得られる追加的な収益率を指す。リスクフリー(無リスク)金利は、日本ではコールレート、米国の場合財務省短期証券3ヵ月物の金利が挙げられることが多い。

 株式のリスクプレミアムの真の値がわかるか直接計測できると、投資の研究も、投資計画を立てるのも大いに楽になるのだが、残念ながら決定的な方法はない。

 過去の長い期間の(たとえば数十年間)実際の株式の収益率とリスクフリー金利を比較して平均を求めても、過去と将来の市場環境や投資家の考え方が同じとは限らないから、これが目下のリスクプレミアムであるとはいえない。

 2000年に崩壊した、いわゆるネットバブルの頃には、上昇した米国のPER(株価収益率)と辻褄が合うように、リスクプレミアムが今まで考えられていたよりも低いのだという考え方が台頭した。それまでは、株式市場全体の平均的なリスクプレミアムは5%から6%くらいではないかという人が多かったのだが、この頃は、2%か3%程度だという考え方の支持者が増えた。その後、ネットバブルが崩壊して米国の株価とPERが低下するとともに、「2~3%派」の数は減ったようだ。

 リスクプレミアムは、ある意味では投資家の頭の中にあるものだ。「それなら、直接聞いてみよう」というアプローチが考えうる。米国ブラウン大学のウェルチという先生が、米国内外のファイナンスないしは経済学の先生数百人を対象に、ネットでアンケートを行なった。
 
 結果を見ると、07年末の時点で、1年間の株式のリスクプレミアム(リスクフリー資産は財務省短期証券3ヵ月物とする)について、先生たちの平均値はほぼ5%だった(米国の先生たちの数字がやや高く、米国以外の回答者の数字がやや低い)。ただし、これらの先生たちが教室で生徒に教えるときに使う数字は平均6%程度と、やや高いものを使っているらしい。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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