今年も暴徒化した若者たちが続出した渋谷のハロウィン。「コンビニで酒を売るな」「全面中止にしろ」と極論を展開する人もいるが、もっと簡単で効果も見込める良案がある。(ノンフィクションライター 窪田順生)

テレビ報道の過熱が
ますます若者を過激にさせる

暴徒化が問題となっている渋谷のハロウィン仮装した若者が結集した渋谷の街。彼らに行儀よくなってもらうためには、意外にも簡単な「仕掛け」が有効だ Photo:DOL

 ようやく嵐が過ぎ去ってホッと胸をなでおろしている方も多いのではないか。「ハロウィン」という大義名分のもと、昨日まで連日のように渋谷で繰り広げられていた乱痴気騒ぎのことだ。

 軽トラをひっくり返したり、ラーメン屋の券売機に水を入れたりと、やりたい放題で渋谷の街を荒らし回る若者たちについて、「顔にモザイクなどかけずに晒し者にしろ」「騒乱罪を適応すべき」などなど怒りの声が噴出したのは、ご存じの通りだ。

 一方で、早くも1年後を見据えた「対策」も論じられている。「コンビニで酒を売らなければいい」「写真付きでIDをぶら下げるのを義務化しては」と様々な意見が飛び交う中で、「やっぱり日本人にはこの手のものはムリだから、いっそのこと全面中止にすべき」と“そもそも論”を主張される方もいらっしゃる。

 だが、そんな強硬策よりも、はるかに簡単で効果も見込める良案がある。以下の3つだ。

(1)テレビの取材自粛
(2)仮装パレードなど一般参加イベントの開催
(3)期間中、渋谷に外国人観光客を誘致

 まず、(1)から順を追って説明しよう。お笑いタレントのカンニング竹山さんが「ビビット」(TBS)のなかで、「この状況を生んだのは我々メディアだ」と述べたところ、同意する声が多く寄せられたというが、これは本質を突いた指摘だ。

 テレビの力というのは、つくっている当事者たちにもわかっていない人が多いが、視聴者の「行動」に影響を及ぼすほどの凄まじいパワーがある。特に外部からの刺激に敏感な若者たちは、その餌食になりやすい。

 有名なのは、自殺だ。テレビで有名人の自殺をじゃんじゃん流すと、若者の後追い自殺がグーンと増える。これは「月刊ムー」とかに載るようなオカルト話ではなく、世界的に確認されている「アナウンス効果」というもので、WHO(世界保健機関)もメディアに釘を刺している。

「初日の出暴走」や「成人式に暴れる若者」をテレビが大ハシャギで取り上げて、「ああ!ご覧ください、パトカーを蹴飛ばしています!」「なんということでしょう、ステージ上で乱闘が始まってしまいました!」なんて調子で実況すればするほど、それを視聴した子どもたちがさらに過激な行動に出るのは、この「アナウンス効果」が影響しているのだ。