佳食漫遊!ニッポンの郷土料理
【第22回】 2012年5月16日 橋本裕之

太平燕(たいぴーえん)――野菜たっぷりの白湯スープに春雨。飲んだ後にこそ食べたくなる熊本中華の定番

 今回は「火の国」熊本編である。以前、仕事やプライベートで筆者も熊本に何度か訪れているが、とても印象的な県であった。

 熊本市内中心部の賑やかさや、今まで遭遇した中で、もっとも霧深かった球磨川流域や、真夏なのに涼しさを感じる阿蘇地方といろいろな顔を持っている。

 また、筆者は直接行ったことはないが、内海の八代海と有明海に囲まれた天草地方も特徴的で、一年を通じて温暖な気候でいい場所という。

 熊本はその特長を活かした農業・畜産が盛んで、全国トップクラスの生産量を誇る特産品も多い。そして、もちろん、その土地土地に数多くの「熊本ならでは」の郷土料理が存在する。

 そんな、熊本の郷土料理を中心にやっている店が、東京は渋谷からすぐ近くの神泉にあるというので訪れてみた。『熊本バル うせがたん』だ。オーナーは熊本出身で、実家は熊本市内中心部から車で25分ほど行った『優峰園フルーツランド』という果樹園をやっているという。

ワケギをギュッと結ぶことで、
味も食感もアップする「ひともじぐるぐる」

ワケギを文字通り、グルグルにきつく結んで、酢味噌で食べるひともじぐるぐる。定番のつまみ。

 まずは最初に食べたのが「ひともじぐるぐる」だ。

 これはさっと茹でて、冷水にさらしたワケギをきつく巻いて結んだものに、たっぷりの辛子酢味噌をかけた、熊本の定番おつまみだ。一文字ぐるぐる、ひともじのぐるぐるとも表記する。

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橋本裕之

飲食店から蔵元訪問など、豊富な食べ飲み歩きの経験から、出版やWEBなどで、食と酒をテーマにした編集やライティングに関わる。過去の執筆に『dancyu』(プレジデント社)、『本格焼酎ぐびなび』(誠Style)など。SSI認定焼酎アドバイザー。ティーコンシェルジュ2級。


佳食漫遊!ニッポンの郷土料理

土地々々の風土に磨かれ、伝え継がれてきた日本の郷土料理を、料理の歴史や地域の慣習などを交えて紹介。その素晴らしさ、味わい深さを再確認していただければ幸いです。

「佳食漫遊!ニッポンの郷土料理」

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