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混迷し続けてもまだ死に絶えない
ヤフーに見る執拗なブランド力

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第196回】 2012年5月16日
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 踏んだり蹴ったりとは、このようなことを指すのだろう。ヤフーでの再びのトップ交代劇である。

 ヤフーは、ここ5年間で4人もCEOが交代した。まるでどこかの国の首相職のようである。その4人は以下の面々だ。

 2007年からCEO職についていた共同創業者のジェリー・ヤンは、動きが遅いと投資家に非難され、マイクロソフトによる買収を退けたことで生き残り戦略に失敗したと揶揄された。

 その後CEOになったキャロル・バーツは、オートディスクでの辣腕ぶりを見込まれての就任だったが、元気をなくす一方のヤフーを立て直せないまま3年近くを過ごし、元ペイパル会長のスコット・トンプソンに席を譲った。

 そのトンプソンは、コンピュータサイエンスの学位をごまかして略歴に記載していたことが明らかになり、みっともない退陣となった。その後、数日前からは暫定CEOとしてロス・レビンソンが就いている。

 こうした交代劇が繰り広げられている間、主立った役職にあった社員が離職し、何千人という単位でレイオフが起こり、一般ユーザーの話題はフェイスブックへ、ツイッターへと移っていった。そんな中で、ヤフーは不思議に生きながらえている「過去の遺物」といった見方も、どんどん強くなっていったのである。

 だが、一方でこう考えてみることも可能ではないだろうか。ヤフーのブランド力は、それでもまだ健在だ、と。これだけ踏んだり蹴ったりの憂き目に遭い、立て直し戦略がことごとく機能せずに来たのに、なぜかヤフーは死に絶えないのである。そこのところは、一考に値すると思われるのだ。

 ガタガタしているヤフーだが、インターネットのトラフィックを調査するアレクサによると、それでもアメリカのトップサイト・ランキングではグーグル、フェイスブック、ユーチューブに次いで4位につけている。ことにまだまだ力があると言われているのはヤフー・ニュース、ヤフー・ファイナンス、ヤフー・スポーツなどのニュースや情報サイト。加えて、ヤフー・メールの利用者も多い。意外なことに、ヤフーを毎日利用するサイトとしている固定ユーザーが、こんな騒ぎの最中もヤフーから離れないでいるのである。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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