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企業のIT投資は人材確保と教育にシフトしている
――ITR「IT投資動向調査2019」の結果を見る

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第86回】 2018年11月16日
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高まるデジタル変革への期待

 次に、企業がどのような課題やテーマに取り組もうとしているかについてみてみることにしよう。毎回、重要視するIT戦略テーマを第1位から第3位まで選ぶ質問を行っているが、ここでは、来期に重要視する戦略テーマとして第1位に選んだ企業数でランキングしている(図3)

 翌年度に最重要視するIT戦略上の課題テーマでは、上位3項目が前年調査から不動であったのに対して、4位以下では変動した項目が目立った。なかでも、「従業員の働き方改革」が順位を4つ上げて第7位となったほか、「デジタル技術によるイノベーション創出」も12位から9位と順位を上げ、攻めの課題に位置づけられるテーマがランクを上昇させた。後者については、業種別では「金融・保険」、従業員規模では「5000人以上」においてとりわけ重視されており、一部の企業ではデジタル変革に関わる投資が積極的に推進されると見られる。

 なお、順位としては下位にとどまっているものの、「IT部門スタッフの人材育成」「IT組織の再編(子会社含む)」が前年からランクを上げており、技術に加えて人材・組織にかかわるテーマが重視されるようになっていることがうかがえる。昨今、デジタルトランスフォーメーションを推進する企業が増加しており、それを担う人材の不足と、IT部門が攻めに転じようとする組織ミッションの拡大が進行していることが1つの要因となっていると考えられる。また、ユーザー企業において、本業分野でのデジタル技術活用が活発化し、IT技術やソフトウェア開発に関する知識やスキルを持つ人材を確保するニーズが高まっていることから、IT人材の争奪戦が激化しているといわれている。そこで、IT部門の人材増強への動きについて詳しく見ていくこととする。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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