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企業のIT投資は人材確保と教育にシフトしている
――ITR「IT投資動向調査2019」の結果を見る

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第86回】 2018年11月16日
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IT部門の人員増強の動き

 グループ企業やグローバルを視野に入れたスコープの広がりに加えて、業務プロセス革新やビジネスモデル変革への関与といった質的な充実が長年求められてきたが、それに対応するIT部門の人員数は、2010年くらいまでは、あまり増強されてこなかった。ITRが2003年から15年にわたって調査した結果によると、全従業員に占めるIT部門正社員の比率は、2003年の1.9%から2010年の2.0%まで一定して2%弱の横ばい傾向が続いていた。

 しかし、その後徐々に増加傾向に転じ、2018年にはついに過去最高の3.0%ととなった(図4)。今期から来期に向けた人員計画においても、増員すると回答した企業が21%となり、減員させると回答した企業の6%を大きく上回り、全体としては増加傾向を示した。

 今後も、デジタルトランスフォーメーション推進のための人材の需要や、システム開発の内製化へのシフトなどの背景からユーザー企業におけるIT人材の増加傾向が見込まれると考えられる。

IT部門人材の中途採用への期待

 企業は増員しようとするIT人材をどのようにして確保しようとしているのだろうか。今回の調査では、将来に向けて不足が危惧されているIT人材の動向を探るべく、IT部門正社員の採用状況に関する設問を追加した。その結果、IT部門の正社員採用を実施する企業はいずれの業種でも5割を上回り、特に情報通信と金融・保険では8割以上と高い割合に上った。IT人材の獲得に本腰を入れている企業が多いことがうかがえる。

 また、全調査対象企業(2499社)のうち、2018年度のIT部門正社員の採用状況をみると、34%が採用なしと回答しているが、採用ありと回答した残りの66%の企業のうち、35%が新卒重視型(中途採用の割合が50%未満)、31%が中途重視型(中途採用の割合が50%以上)となっており、両者が拮抗し、どの業種においても「中途重視型」の企業が約3割を占める結果となった(図5)。つまり、新卒・中途を問わず、IT部門人材を積極的に採用しようとしている状況が見て取れる。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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