改正利息制限法の完全施行を6月に控え、なぜか信用金庫や信用組合といった地域金融機関が危機感をあらわにしている。

 今回の改正では、消費者金融の制限利率の統一、つまりグレーゾーン金利撤廃が注目を集めたが、その陰で悪徳業者を排除するための改正も併せて行われた。

 その一つがみなし利息。これはカネを借りた際の手数料などを利息と見なし、法の網にかけようというもの。だが、今まではATM手数料などはその中に含まれず、利息の代わりにそうした名目で法外な手数料を取る業者が多かった。

 こうした法の抜け穴をふさぐため今回、ATM手数料を利息と見なし、1万円以下の借り入れで105円、1万円超で210円を上限とするという条文が新設されたのだ。これが金融機関に思わぬ火の粉となって降りかかった。

 どういうことか。一定の枠内で残高以上のカネを引き出すことができる総合口座を開設している場合、提携外のコンビニATMなどからカネを下ろそうとすれば、手数料が210円かかるケースが多い。このときに、引き出し額が残高を超え、かつ1万円以下であれば、みなし利息の上限に該当してしまうことになる。時間外の引き出しも引っかかる可能性が高い。

 システム対応のほか、顧客への周知などが必須のため、金融機関の負担は重い。特に信金、信組レベルで割ける人員は限られ、「対応は無理」との悲鳴も上がる。

 窮余の策として、みなし利息となる可能性がある場合にはATMの利用を拒否したり、明細には手数料を210円と表示しても、実際には105円しか徴収しないことを検討する金融機関も出てきた。

 もっとも、総合口座でのみなし利息に引っかかりそうなケースは「取引全体の1%未満」(銀行幹部)だけに、関係者の不満は募るばかりだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)

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