世界の食システムの矛盾。その最終的な震源地は…

 実は世界の食システムの矛盾を一つひとつ見ていくと、問題の最終的な震源地はわれわれ消費者に行き着く。

 1円でも安ければ、生産地や使われている材料の中身は問わない。それが、問題が指摘される食品添加物であったり、過剰捕獲による資源の減少が懸念される魚であったり、本来はシーズンでない野菜であったとしても、われわれはそれが1年中いつでも手頃な値段で手に入ることを当たり前と考えるようになってしまった。

 その一人ひとりの「当たり前」が世界の食システム全体にどれだけのストレスを掛けているかを、われわれはこれまでほとんど考えてこなかった。

 世界の食システムがどのような状態にあり、その中で、自分は今、どういう立ち位置にいるのか。消費者にはできるだけそのような余計なことを考えさせずに、食べることと買うことに集中するよう促す商品CMの洪水の中で、それを見渡す視座を持つのは容易ではない。

 しかし、世界中の食材が溢れかえるスーパーの食品棚の裏側で何が起きているかを多少なりとも知れば、もしかするとわれわれの消費行動にも変化が出てくるかもしれない。最終的には一人ひとりの消費者の行動が変わることなくして、世界の食システムの崩壊は避けられない。それが『食の終焉』の著者の主張なのだ。 


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世界中の食材が溢れかえるスーパーの食品棚<br />その裏側で今、何が起きているのか?

『食の終焉』
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高度な食料経済の構築により、農産物や食肉、加工食品を1年中どこでも買えるようになった。しかし、低コスト・大量生産モデルを世界的規模に拡大することで、私たちはその恩恵だけでなく、負の要素も世界中に広めてしまった。その負の要素とは何か、このシステムは持続可能なのか、膨大な取材をもとに明らかにする。

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