今月11日、家電量販店5位のビックカメラが、6位のコジマを買収することを発表した。これにより、業界順位の上位が入れ替わり、ビックカメラ・コジマ連合は、首位のヤマダ電機に次ぐ業界2位に躍進することになる。気になるのは、事業効率化とスケールメリットを追求する一大勢力の誕生により、家電量販店各社を疲弊させてきた価格競争が、より熾烈化するのではないかということだ。業者にとって、これ以上の競争激化はまさしく業界そのものの地盤沈下を意味する。果たして、その可能性はあるのか。関係者や専門家に聞くと、彼らは今回の買収劇を意外なほど冷静に分析していることがわかった。(取材・文/岡 徳之、協力/プレスラボ)

業界5位のビックが6位のコジマを買収
起死回生をかける「5つの提携効果」

 今月11日、家電小売業界で大きなニュースが持ち上がった。家電量販店5位のビックカメラが、6位のコジマを買収すると発表したのだ。

 ビックカメラはコジマが実施する第三者割当増資を引き受けた上で、株式の50%超を取得して傘下に収め、コジマを子会社化するという。コジマに支払われる買収額は140億円を超える見込みだ。

 ビックカメラは、コジマを買収した後も、両社が持つ店舗ブランドの独自性を維持しつつ、共同して提携効果を実現するとしている。その具体的な効果とは以下の5点である。

(1)商品仕入面での連携

 両社の仕入れ規模を最大限活用し、商品仕入部門の再編と調達業務を統合することによる、粗利益率の改善。

(2)物流・システム面での連携

 両社が共に展開するエリアにおいて、物流の共同化などにより物流コストを低減。また、両社の物流オペレーションの優位点を共有すると共に、必要なシステム面での連携も実施。