経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2016
【第5回】 2012年5月22日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

【石田茂氏×武田隆氏対談】(前編)
これからのコミュニケーションデザインは
「マスメディア×ソーシャルメディア×売り場」が
主戦場

ソーシャルメディアの出現によって、これまで企業と個人の間に横たわっていた“情報発信格差”は確実に縮まりつつある。「情報を発信する企業とそれを受けとるだけの消費者」という構図から、ソーシャルメディア等を通じて両者が直接的につながり合い、それぞれの立場から情報を発信し合うようになったのだ。
この変化は、「コミュニケーションをデザインする」という仕事の現場に果たしてどのような変化を与えているのだろうか? 今回はコミュニケーション・デザインの最前線に立つ株式会社電通の石田茂氏をゲストに迎え、コミュニティマネジメントの現場で今まさに起きている大きな変化についてお話をうかがった。

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この10年で私たちが目撃してきた社会の変化

武田:石田さんが新しく部長に就任されたiCR部には「i」の字が入っていらっしゃいますね。

石田茂(いしだ・しげる)
株式会社電通 iPR局iCR部クリエイティブ・ディレクター コミュニケーション・デザイン・センター兼務。1990年、株式会社電通に入社と同時にPR局(現・コーポレート・コミュニケーション局)に配属。マーケティングPR、企業PR、リスクマネジメント領域の仕事に従事。その後、マーケティング・プロモーション統括局(現・APソリューション局)にて、ブランディングおよびマーケティング領域での先端メソッドの開発リーダーとして開発プロジェクトを推進。その傍ら、クライアントのブランド戦略コンサルティング業務にも従事。2007年から営業局にて営業部長を担当。2012年4月より現職。著書に『ブランド戦略シナリオ』(ダイヤモンド社、共著)。2003年、筑波大学非常勤講師。2006年、国際城西大学大学院にてブランドマネジメント講座を担当。

石田:そうですね。この「i」にはいろいろな意味が込められているのですが、例えばインタラクティブ(=双方向)の「i」です。さまざまなコミュニケーションがインタラクティブになり、ネットワークが形成されていくことは避けられないことです。ソーシャルメディアというものがやってきて、瞬く間に一般の方々の生活に溶け込み、「普通」のこととなりました。

武田:この5、6年の出来事ですよね。

石田:そう、つい最近のことです。やはり、インターネット黎明期に武田さんが参画された「ネコクリ」は時期が早すぎましたね(編集部註:ネコクリ=電通・NEC・ニッポン放送・ポニーキャニオンが出資した株式会社ネットワークコミュニティクリエイションの略称。コミュニティマーケティングを標榜し、同社のサービスはJAR[JapanAccessRating]女性コミュニティ部門1位を獲得した)

武田:あれは1998年のことです。当時、私の企画を聞いてくれたのは電通さんだけでした。

石田:あの時期にコミュニティマーケティングっていう発想は、やっぱり10年ぐらい早い(笑)。でも、今まさにその時代がやってきました。当時はみんな理想に燃えて、近未来、コミュニティの時代が来るんじゃないかって議論をされていたんじゃないでしょうか。机上での企画は、すばらしいものになっていた。

武田:ありがとうございます(笑)。

石田:でも実態はついていかなかった。ソーシャルメディアなんて言葉もない時代、やっぱり早すぎたと思う。でも、十数年が経って時代も変わり、さまざまなツールも現れて、スマートフォンで手軽につながれるようになって、それらのつながりがコミュニティを形成するようになった。ネコクリがいっていた時代になったんだなと思います。

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


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