正社員に囚われない新たな労働のあり方として、「ギグエコノミー」が注目を浴びている。たしかに、個人の働き方に多様性をもたらしたり、スタートアップの成長を加速するツールを提供したりするなど、着実に発展を遂げている。だが、ギグエコノミーを取り巻く物語の中には、事実に基づかない都市伝説も多い。本記事では、一般によく見られる4つの言説を示す。


 働き手が、福利厚生のある社員としてではなく、独立した個人請負人としてパートタイムあるいはフルタイムの労働を提供する、いわゆるギグエコノミーについて、毎日のように何かしら報じられている。

 ライドシェアリング大手のウーバーCEO、ダラ・コスロシャヒは2018 年9月10日、「ブランド名が動詞になる事例はなかなかありません」と誇らしげに力説した。同じ週、フリーランサーと企業をマッチングするクラウドソーシング大手のアップワークが、IPO(新規株式公開)を申請した。時を同じくして、やはりIPOを申請したファイバーは、「リーン経営を旨とする起業家向けに、フリーランスサービスのマーケットプレイス」を提供することを自負している。

 ギグエコノミーは実際、何百万人もの米国人を請負人に変えたばかりでなく、比較的成功を収めている起業家に対して、成長をさらに加速するためのツールも提供している。動きの速いスタートアップ企業は、必要に応じて人材を確保でき、給与計算のような日常業務をアウトソースして、リーンで筋肉質の経営を維持することができる。現に、私は勤務先のEYで、クリエイティブかつ新進気鋭のスタートアップ企業をサポートするなかで、起業家たちがこのアプローチを採用するのを目の当たりにしている。

 だが、フルタイムであれ、パートタイムであれ、ギグの仕事については都市伝説と呼びたくなるような話が少なくない。

 ギグエコノミーは確かに伸びているが、一般に思われているほどではない。また、その展開の仕方も、一般に想像されるイメージとは大いに異なるかもしれない。実はギグエコノミーは、大学を卒業したての若者より、年配の経営幹部経験者に向いている可能性もある。

 以下に、ギグエコノミー都市伝説の真相を明かそう。