株式レポート
5月17日 18時0分
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安全資産の金まで下落? - 村上尚己「エコノミックレポート」

・昨日(5月16日)日経新聞には、「マネー変調、欧州警戒で現金志向」「安全資産の金まで下落」という記事が掲載された。昨晩のNY市場でもギリシャ情勢への懸念から、株式や国際商品市況、そして金先物価格の調整が続いている。2012年年初の水準を大きく下回る1トロイオンス1,536ドルまで調整した(グラフ参照)。

・こうした記事のように、安全資産・金ですら下落していることが、市場の大きな変調を示しているとする解説が多くなっている。安全資産である金の下落は、2008年のリーマンショック後の大混乱時も起きたため、それと匹敵するような出来事と暗示する見方も聞かれる。

・もちろん、ギリシャのユーロ離脱を巡る思惑が、金融システムへの懸念を再び高めていることが、そうした解説につながっているのかもしれない。5月になってから、米日独などの国債金利低下が続き、安全資産である国債に資金が集まっているのは確かである。

・だから、本来安全資産である金「まで」が売られて、国債に資金が移っているという解釈になる。確かに、金は2011年夏場に、安全資産として1トロイオンス1,900ドル近辺まで急騰し、ドル、ユーロなど主要通貨の代替先として、安全資産として市場で認識されていた(グラフ参照)。ただ、1月17日レポートでも紹介したが、それ以降は既に「安全資産」という性質がかなり変わっており、2011年秋口以降は、国際商品市況の指数であるCRB指数とほぼ連動している。

・2011年8月に高値をつけてから、金価格は3回目の大きな下落局面を迎えている。それぞれの調整幅は、-15.7%(2011 年8月22日→9月26日)、-14.4%(11月8日→12月29日)、)-14.1%(2012年2月28日→5月16日)だが、これと同期間に、CRB指数は、それぞれ-8.6%、-5.6%、-10.5%下落している。

・2012年になって、金価格の下落率は、原油や貴金属などの他の商品市況の下落率により近づいている。最近の金は安全資産としての特殊性が一段と薄れ、他の商品と同様に、世界経済減速懸念を反映して調整している面が、より強まっているのかもしれない。であれば、金「まで」が売られているというより、「株式や他の商品同様」に金が売られ、国債に資金が移っている、というのがより正確だろう。

・2011年秋口以降、金の安全資産としての特殊性が失われ、普通の商品としての性質が強まっているのはなぜか?いくつか理由が思いつくが、極めて単純に、昨年夏までに価格上昇が行き過ぎて、「安全資産」ではなくなったということだろうか。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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