70/20/10の公式

 OJT神話はなぜ起こったのか? その一端を説明するのによい図式がある。ロミンガー社のマイケル・ロンバルドとロバート・アイチンガーは、個人の能力開発が、実際にいかに起こるかについて、70/20/10の公式なるものを提唱した。

 図1を見てほしい。従業員にとって本当に実になる学習の70パーセントは、実際の生活経験や職業上の経験、仕事上の課題と問題解決から起こる。自分が直接に経験したことから能力アップにつながるため、いわゆる「直接学習」と呼ばれている。

 次の20パーセントは、職場や学校などで、模範となる人物(ロールモデル)から直に受ける薫陶(対人的学習)や、観察と模倣から起こる。他人の経験を自分のものとしたり、他者の活動を観察したり、まねしたりして学習が起こるため、「間接学習」となっている。

「これは、さるの じょーじです」(This is George.)で始まる有名な絵本『ひとまねこざる』(H.A.レイ作)。絵本に出てくる子ザルのジョージのように、われわれは他人のマネから多くを学ぶ。猿まねという言葉にはよくない響きがあるが、スティーブ・ジョブズは「優れた芸術家はまねる」と言って、模倣を肯定している。

 そして、残りの10パーセントが、これまで慣れ親しんできたクラス学習やOff-JTなどのフォーマルな研修である。学習のインパクトとして、洋の東西を問わず、Off-JTがこれほど分が悪いというのは、コンサルティング会社や研修講師など、研修ビジネスで食っている人たちにはショッキングだろう。