経営×ソーシャル
識者に聞く ソーシャルメディア進化論
2018年12月18日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

あらゆる機械は今後、人間を目指すようになる

【石黒浩氏×武田隆氏対談1】

人間そっくりのアンドロイドを開発し世界にインパクトを与えるなど、常にロボット工学の最先端を走っている研究者の石黒浩氏。大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒研究室では、未来の人間社会を支える知的システムの実現を目指し、さまざまな人間型ロボットを創り出す研究を進めている。そんな石黒氏が一貫して問い続けてきたのが、「人間とは何か」という人間の存在に関する根本的な問題だ。現在、石黒氏はその問いについてどう考えているのだろうか。まずは、最近の研究の話からうかがっていく。

機械は高性能になればなるほど、人間に近づく

石黒 浩(いしぐろ・ひろし)
1963年生まれ。大阪大学基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。京都大学情報学研究科助教授、大阪大学工学研究科教授を経て、2009年より大阪大学基礎工学研究科教授。ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。アンドロイドやジェミノイドなどのロボットを多数開発するなど、知的システムの基礎的な研究を行う。2011年に大阪文化賞を受賞。また、2015年には、文部科学大臣表彰受賞を受賞。主な著書に「ロボットとは何か」(講談社現代新書)、「どうすれば「人」を創れるか」(新潮社)、「アンドロイドは人間になれるか」(文春新書)などがある。
石黒 浩(いしぐろ・ひろし)
1963年生まれ。大阪大学基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。京都大学情報学研究科助教授、大阪大学工学研究科教授を経て、2009年より大阪大学基礎工学研究科教授。ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。アンドロイドやジェミノイドなどのロボットを多数開発するなど、知的システムの基礎的な研究を行う。2011年に大阪文化賞を受賞。また、2015年には、文部科学大臣表彰受賞を受賞。主な著書に「ロボットとは何か」(講談社現代新書)、「どうすれば「人」を創れるか」(新潮社)、「アンドロイドは人間になれるか」(文春新書)などがある。

武田隆(以下、武田) 石黒先生はロボット研究の第一人者でいらっしゃいます。これまでには、石黒先生自身がモデルとなった「ジェミノイド HI」、女性型の「ジェミノイド F」、マツコ・デラックスさんを模した「マツコロイド」など、モデルに見かけが酷似したアンドロイドをたくさん作ってこられました。今はどんなロボットを開発していらっしゃるのでしょうか

石黒浩(以下、石黒) 今は、「ERICA」というアンドロイドの研究に力を入れています。ERICAはこれまでのような遠隔操作型ではなく、自然に人と会話ができる自律対話型のアンドロイドです。意図や欲求を持つロボットを作りたいと思って試しているのですが、なかなか結果は出ませんね。難しいです。

武田 リアルな人型のアンドロイドの他には、クッションのような携帯型のアンドロイドも開発していらっしゃいますよね。やわらかい人形にスマホを入れて抱きかかえたりしながら遠くの人と会話すると、相手の存在を強く感じられるのだとか。

石黒 ハグビーのことですね。ハグビーは「存在感伝達メディア」なんです。ロボットを利用したコミュニケーション研究の過程で誕生した商品で、通話中にハグビーを抱きしめるとストレス軽減効果があることが明らかになりました。この結果は正式に論文として『nature』掲載されています(論文はこちら)。気になっている人に渡して、二人でハグビーを使って会話をしたら、すごく親密な関係になれますよ。

武田 好きになってもらうこともできちゃうんですね。こうしたロボット研究で石黒先生は一貫して、「人間に近づける」ということをテーマにしていらっしゃいます。

石黒 あらゆる機械は、高機能になればなるほど人間に近づくと考えているんです。まず、機械というのは高機能になると、ものすごくたくさんのパラメータ調整をしないと使えないですよね。プロが使うようなカメラなどを想像してもらうとわかりやすいと思います。しかし、一般的に私たちが使用するカメラのオート機能、たとえば「簡単撮影モード」を利用すれば誰でも、ある程度いい写真が撮れます。これは「撮影者にきれいな写真を撮らせてあげたい」というカメラの意図や欲求があるから、といえます。



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


識者に聞く ソーシャルメディア進化論

史上最も多くの人々がつながり合った今、私たちを取り巻く社会はどう変化していくのか? NTTドコモ、セブン&アイ、資⽣堂ジャパン、ライオン、森永乳業をはじめ300社超のマーケティングを支援してきたクオン代表 武田隆氏が、各分野の有識者とともに変わりゆくインターネット時代の未来を読む。

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