仏大手金融グループのクレディ・アグリコルが、りそなホールディングス(HD)の普通株式を買い増す検討に入った模様だ。

 クレディ・アグリコルは、すでにりそなHDの普通株を約1%保有しているが、今後、最大で1000億円を投じて株式を買い取り、出資比率は5%に達する可能性もある。りそなHDの筆頭株主は約5割弱を保有する日本政府だが、年度内にもそれに次ぐ大株主に浮上しそうだ。

 クレディ・アグリコルは2002年3月以降、りそなHDと投資信託販売や資産運用分野で提携している。今回はさらに生保分野と法人・投資銀行分野でも提携するとともに、普通株の取得で関係強化を図りたい構えだ。

 一方のりそなHDにとって、クレディ・アグリコルによる資本参加は、事業の拡大以上に大きな意味を持つ。

 りそなHDは03年6月に実質国有化され、公的資金の残高(簿価)は07年9月末時点で約2兆3375億円。なかでも頭の痛い問題の一つが、3352億円の早期健全化法の優先株だ。その一部(1633億円)は来年4月に普通株への転換期日を迎える。

 普通株への転換による株式の希薄化を避けるため、りそなHDは転換期日前の買い入れ償却を行ないたい。ところが、サブプライム問題などで株価が低迷しており、日本政府が抱える含み損は1000億円超と見られる。国民負担の回避を掲げる政府から優先株を買い取ることは難しい。

 さらに、政府が保有するりそなHD株を大量売却すれば、株価の急落は必至。りそなHDにとって、市場売却される株式を減らす意味でも、安定株主の確保は喫緊の課題だった。

 昨夏には第一生命保険がりそなHDの普通株を約5%取得する検討をしたが、実現していない。今回のクレディ・アグリコルによる出資話が、りそなHDにとって吉報であるのは間違いない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 松本裕樹)